YSQ 「我が国における、ヒトに感染するノカルジア属の種別の頻度は?その治療は?」
[序論]
我が国におけるノカルジア症の種別の頻度と、種によってその治療に違いがあるかについて考察する。
[本論]
1992年から2001年にかけて、日本で303例のノカルジア症が診断され、対応する病因が単離され、特定された。そのうち81株がN. farcinica、72株がN.asteroides、66株がN.brasiliensis、33株がN. nova、31株がN. cyriacigeorgica、14株がN. otitidiscaviarum、
2株がN. beijingensisであることが示された。
ノカルジア症の治療としては、サルファ薬が第一選択薬である。SMXとTMPの併用療法は、サルファ薬単独療法と同等、それ以上の効果があるが、血液学的毒性のリスクを増すこととなる。他の経口薬治療での臨床経験は限られている。アモキシリンとクラブリン酸の併用は効果的であるが、N. novaでは避けなければならない。
アミカシンはN.transvalensisを除き、効果が最もよく確立された注射薬である。セフトリアキソンはN.brasiliensis 、N. otitidiscaviarumには効果的ではない。イミペネムはN.abscessus、N.brevicatena、N.transvalensis、N.brasiliensis、N. otitidiscaviarum、N.pseudobrasiliensisには効果的でない。
[結論]
日本でノカルジア感染の最多の原因菌はN. farcinicaである。治療薬としては、経口薬のSMX-TMP、アモキシリン、注射薬のアミカシン、セフトリアキソン、イミペネムが挙げられ、原因菌に注意して治療を行う必要がある。
参考文献
(1) Harrison's Principles of Internal Medicine 19th Edition P.1084~1088
(2) Kageyama A, Yazawa K, Ishikawa J, Hotta K, Nishimura K, Mikami Y. Nocardial infections in Japan from 1992 to 2001, including the first report of infection by Nocardia transvalensis. Eur J Epidemiol. 2004;19(4):383–9.
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