献本に感謝します。本書を、若干、苦い反省をこめて読みました。
診療ガイドラインは年々大著になる傾向があり、なかなか精読できないものです。英語だというだけでひるむ方も多いでしょう。だから、日本語でサマライズしたまとめのニーズが有るわけで、ぼくもそれを作ったのですが、古いガイドラインなんて存在価値はほぼゼロなのです。歴史的な反省の意味しかなく、診療には絶対に使えない。なので、2010年以来この手の試みをほったらかしていた自らの怠惰に大いに反省させられました。同時に、今回国際ガイドラインをおまとめいただいた各著者の先生方に心から敬意を表するとともに、感謝申し上げます。
本書は、各ガイドラインを個別の著者がまとめているので、その内容には若干の差異はある。国際ガイドラインのまとめなので、日本の実情を踏まえた注意点を解説しているのはとてもよいと思ったけれど、日本の実情を考慮し、「その是非を検討されたい」といった、もうひとつ踏み込みが浅いものも見られた。ガイドラインの読み込みとはクリティークのことであり、踏み込みの浅いクリティークとは形容矛盾だ。おかしなことはおかしい、間違ったことは間違っている。こうするべきだ、こうすべきでない、といった記載はもっと明確にすべきじゃないか、、、と思った箇所もいくつか見つけた。
あと、当然「日本にもガイドラインがあるのだから、そっちを使えばいいんじゃないの」という意見もあるはずだし、現に本書でも日本のガイドラインといろいろ比較している項もある。で、あるならば最初から日本のガイドラインとのガチンコ比較をし、GRADEなどの作り方や利益相反も含め、しっかりと比較してどっちのガイドラインのどこが使えて、どこが使えないのか、双方のものを検証すればさらによかったと思う。はい、お前がずっとサボってたくせに、偉そうなことを言うな、という批判は甘んじて受けます。本当にすみません。。。。まあ、「極論」でちょっとは触れましたが、、、
あと、個人的な意見として「わが国」という言い方は止めてほしい。
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