I「さ、この連載も残す所今週のみ。100回で大団円となります。巻きに入りますよ」
M「ええ~もう終わるんですか?」
I「Mさんの英語の勉強は終わりゃしません。この連載はおしまいになりますけど、今後も勉強してください。俺たちの戦いはこれからだ!」
M「なんですか?それ」
I「わかる人だけついてくりゃいいんです、がぼくの基本路線です。では、やりましょう。今日は論文一個、飛ばし読みの術です。底本は
Schuts EC, Hulscher MEJL, Mouton JW, Verduin CM, Stuart JWTC, Overdiek HWPM, et al. Current evidence on hospital antimicrobial stewardship objectives: a systematic review and meta-analysis. The Lancet Infectious Diseases. 2016 Jul 1;16(7):847–56.
です。The Lancet Infectious Diseaessは優れたメタ分析をよく出しています。今回はASP、抗菌薬適正使用プログラムの評価です。でも、ぼくらには時間がないので、精読できないこともある。そこで、どんどん飛ばし読みしていきます。
M「はい」
I「まず、ASPについてはぼくらはもうわかってる(プロだから)、なのでイントロは割愛。方法は、きっちり読んで重箱の隅をつつくのもよいですが、まあLancet で査読されてるメタ分析ならお、そうそう乱暴なことはないだろう、ととりあえず割愛(いつもこんなことばかりやってたら危ういですから、時と場合を考えましょう)」
M「割愛大好き!」
I「ただし、確認すべき点が一個だけあります。それはoutcomes。Search strategyにこう書いてあります。
four predefined outcomes (clinical outcomes, adverse events, cost, and resistance rates;
4つの事前に決定されたアウトカム(臨床アウトカム、副作用、コスト、耐性率)です。
で、まずTable 1を見ます。一般的に論文ではどういうものを対象としているか、Table 1でまとめてます。だからここをざざっと読みます。これ大事」
http://www.thelancet.com/action/showFullTableImage?tableId=tbl1&pii=S1473309916000657
M「ええと、empirical therapy according to guidelinesはガイドラインに則ったエンピリック治療、blood cultureは血液培養、cultures from the site of infectionは感染部位の培養ですね、、、」
I「はい、あとはde-escalation、adjustment of therapy to renal function(腎機能に応じた治療の調整)、switch from intravenous to oral therapy(点滴から経口へのスイッチ)、documented antibiotic plan(抗菌薬使用目的の明記)、therapeutic drug monitoring(これはTDMのことですね)」
M「で、discontinuation of antibiotic therapy if infection is not confirmed、は感染が確認されなかったら抗菌薬中止」
I「presence of a local antibiotic guideは現場(local)な抗菌薬使用ガイドがあることですね。で、それがagreement with national antibiotic guidelines国のガイドラインに合致しているか、ということ。まあ、日本の場合国のガイドラインがイケてな「ピー」」
M「ほら、また自主規制入りましたよ」
I「あとは、制限している抗菌薬リスト(List of restricted antibiotics)、コンサルテーションの存在(bedside consultation)、これは単にカルテ開くだけでなく、ちゃんと患者のところに行って診察する、ほんまもんのコンサルテーションですね。で、患者の遵守のアセスメント(assessment of patients' adherence)。なるほどお」
英語は難しくありません。少しずつ学んでいきましょう。
今日のポイント
・論文をすっ飛ばして読むテクも身につけよう。
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