著者献本御礼。
ぼくは女性週刊誌を読まないので(まあ、他の雑誌もあまり読まないけど)、なにがどうトピックになっているのかはよく分からない。
ただ、妊娠、出産についてはいろいろと調べる機会があった。分かったのは、「この領域はとにかく「極論」が多い」ということだ。
曰く、「このような産み方だとよい子どもが生まれない」「このような産み方では子どもが幸せになれない」「こんな場所で生んだら子どもが愛せなくなる」
あほかいな。
妊婦を対象とした臨床試験は極端に難しい。なのでデータは希薄である。希薄なデータの下で、なぜか断言、極論が増えるというのは不思議な現象である。もっとも「よく分からない」領域で、もっとも断定的で、決めつけ調の脅迫的なコメントがはびこるのである。もちろん、脅かされて畏れおののくのは、妊婦である。なにしろ、妊婦は経験値が少ない。何十回も妊婦になることはできない。例えば、臨床経験5回というのは普通は「経験不足」を意味する。妊婦五回は、かなりの経験値だが、それでも臨床医学的には「経験不足」なのである。経験不足だから、どうしても妊婦は他者の情報に翻弄されやすい。情報リテラシーを欠いている場合は、なおさらだ。
本書は、女性の健康、女性のカラダに関するこのような「脅し」にノーを突きつける本である。ほとんどの脅しは実のない脅しである。そう著者は繰り返し説く。きれいになる、女をあげる。そうした根拠の乏しい俗説を、根拠が乏しいと看破していく。もちろん、だまされているのは女性だけではなく、男性もありもしない女性像の幻影に翻弄されているのである。
あっしもちょびっと本書に出てます。どうぞ一読を。それにしても、東村アキコとは、ずるい表紙だなあ。うらやましい。
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