著者献本御礼
本書の第1版が出たのが2004年、ぼくが帰国した年である。ようやく第2版が出る。待ちかねた、、という感じだ。
本書はダイハードな、ある意味ダイナソーな本である。丁寧な身体診察、丁寧なグラム染色。アメリカがとっくに失った古き良き時代の感染症診療をそのまま残している。耳鏡の使い方までしっかり書いてある感染症のテキストがいったいどれだけあるだろう。というか、内科外来で「耳鏡ください」と行って、「そんなものありません。耳鼻科から取ってきます」と言われて、あの丸い鏡が届けられた、、というのはぼくの現実の経験談。
本書には、一般病院で普通の医者が感染症と対峙するためのノウハウが全て込められている。HIVについて「あえて」2ページしか割いていないその潔さが、本書の立ち位置を明確に示している。普通の病院で普通の医者が感染症と遭遇するのは当たり前だ。それなのに、普通の病院の普通の医者は、ほとんど感染症との対峙の方法を知らない(まじで)。これが悲しい日本の現実だ。藤本先生のテキストは研修医に好んで読まれている。指導医にも読まれてほしいと切に願うのは、ぼくだけではないはずだ。
神戸大学病院感染症内科をローテートした学生や研修医が等しく感じる実感を、本書を読めば追体験できるはずだ。「コモンな感染症も簡単ではない。熱発患者をなめてはいけない。患者の診療を端折ってはいけない」といった「常識」である。常識は大事なんですよ。
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