TTP(thrombotic thrombocytopenic purpura:血栓性血小板減少性紫斑病)は治療しなければ致死的な疾患であるが、早期の血漿交換療法の効果が期待できるため、迅速に診断することが重要となる。(治療しない場合の死亡率は90%、治療した場合は20%~30%)1
TTPは微小血管障害性溶血性貧血(100%)、血小板減少(100%)、神経症状(重症:37%、軽症:29%)、腎機能障害(51%)、発熱(23%)の5徴によって特徴づけられる。しかし5徴が揃うことは3%と少なく、現在は早期の治療の必要性から、微小血管障害性貧血と血小板減少の2つがあり、他の疾患が否定されれば診断し、治療を開始する。2100万人あたり11.3人と頻度は少ないが、致死的な疾患なので早急な診断と治療が必要である。
<診断のアプローチ>症状としては腹痛、嘔気・嘔吐、脱力感など非特異的なものが多いため、症状だけではTTPは考えにくい。血液検査を行い、血小板減少、溶血性貧血を認めたときはTTPを疑うが、基本的にTTPは除外診断となる。鑑別として、溶血性尿毒症症候群、悪性高血圧症、強皮症腎クリーゼ、抗リン脂質抗体症候群、HELLP症候群、播種性血管内凝固(DIC)などがあげられる。妊娠中の場合には、TTPが妊娠に伴うこともあれば、子癇やHELLP症候群の患者にTTPのような症状がでることもあるため注意が必要である。TTPの検査所見ではPT、aPTT、FDPは正常で凝固能の異常を示さない(DICとの鑑別)。またLDHや間接ビリルビン、網赤血球の上昇、ハプトグロビン低値などの溶血性貧血の所見を認めるが、クームス試験は陰性である(自己免疫性溶血性貧血との鑑別)。また末梢血スメアでは100倍で2個以上の破砕赤血球が認められる。
TTPの一因として血管内皮で産生されるvWFマルチマーを切断する酵素であるADAMTS13の活性低下があり、その活性とインヒビターの測定が行われることもあるが、現在のところADAMTS13評価の有効性は確立されていない。ある9つのコホート研究では、特発性TTPの患者のうち重度のADAMTS13の欠乏は33~100%であった。3
TTPの診断がついたとしても、特発性TTPの患者の10%でのちに敗血症や悪性腫瘍が見つかることがあるため、継続的な評価をすることが必要である。
結論として、血小板減少と溶血性貧血が認められた場合、腎機能や末梢血塗沫標本などの検査を迅速に行い、診断、早期の治療に結びつける必要がある。その際には患者の背景や病歴も含め他の疾患を除外して総合的に判断することが重要であると考える。
参考文献:1. Harrison’s Principles of Internal Medicine 18th
2 .Up to date Diagnosis of thrombocytopenic purpura-hemoric uremic syndrome in adults
3 .JameN.George,M.D Thrombotic Thrombocytopenic Purpura N ENGL MED354;18 MAY4,2006
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