ハッテン場とは、特定または不特定の相手との性行為を求めるMSM(Men who have Sex with Men)の出会いと性行為のための場であり、狭義では場を有料で提供する性風俗産業である。これらは女性や異性愛者の入館を避けるため入り口で会員制と表記していることが多い。一方、公園や映画館、公衆浴場といった公共施設やトイレといった場所で類似の行為が行われることもあるが、これは近年減少傾向にあるともいわれている。原因としては公然猥褻行為を行わないように警備や照明を増やすなどの対策、近隣の店舗が入れ替わったことによるMSM以外の利用者の増加、このようなハッテン場におけるゲイの襲撃事件、有料ハッテン場の増加、インターネットなどの出会いツールの普及などが考えられている。
ハッテン場は風営法による規制は受けていない。風営法が性風俗関連特殊営業を、異性を相手にした性的サービスを行う店と定義しているために同性相手の性的サービスを提供するハッテン場は風営法の適応外となっているからである。近年北新宿の「デストラクション」や大阪の「TOUGH」が公然猥褻幇助により摘発されるなど規制が強まっているが、利用者による違法薬物の所持、使用の疑いがあったためとみなされている。
関西では特に大阪の堂山町がゲイタウンとして有名で、ゲイ関係の店舗数は230軒とされ、そのうちハッテン場は13店舗。他にもミナミ、新世界、京都、三宮などがゲイのための店舗が多いとされる。店舗形式としてはホテル、公衆浴場、ビデオボックス、インターネットカフェなどが存在し、利用料は1000~2000円ほどと比較的安価である。店によっては来場する客の嗜好に合わせて体型や年齢などのコンセプトを設定しているものもあり、そこではドレスコードや髪型の指定がある。これらのコンセプトは固定している店舗と、定期的にイベントとして設定している店舗がある。コンドームの販売、無料配布している店舗はあるが、全員が利用しているわけではない。理由としてはコンドーム使用による性感の低下、またパートナーが不使用を提案した場合それを受け入れることが多いからとされる。その他、MSMが不特定多数と関係をもつことが多いこと、またHIVが陽性のMSMをポジ種と呼び、コンドームを利用せずにHIVを移されることを疑似受精と捉える考え方があることも影響していると思われる。
1998年4月に発足したMASH大阪はゲイコミュニティの形成及び商業系ハッテン場においてコンドーム、ローションをより利用しやすくするような環境づくりを目標としている。ただMASH大阪が行うイベントは主にゲイタウンで行われるため、ゲイタウンを利用するMSMには一定の効果は示したものの、そうでないMSMに対しては十分に情報が届かないのが現状である(MASH大阪調べでは大阪のゲイタウンを年に一度以上利用するMSMは年間3~4万人とされるが、利用しないMSMはそのおよそ3倍とされる)。また、STI(性行為感染症)に対する認知度の低さのために楽観視をしているMSMはいまだに多い。ゲイタウンでのイベントも引き続き行いながら特にゲイタウンを利用しないMSM対象にインターネットを通じてSTIの理解を深めてもらうとともに、ハッテン場において使用に抵抗感が少なく品質の良いコンドームを常に使える環境を整備するようにすることが今後の課題とされる。
http://www.city.osaka.lg.jp/kenko/cmsfiles/contents/0000107/107557/11.pdf
http://www.gclick.jp/
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