昔、亀田にいた時、免疫力増加サプリメントのことを優秀な栄養士さんに調べてもらったことがある。NK細胞の活性を高めて、、、とかで効果あり、みたいな話だった。ネットで調べるとこの手の「ネタ」はやまほどありますね。
http://www.tv-tokyo.co.jp/shujii/backnumber/121203/
で、NEJMでcritically illの患者さんにグルタミンを提供すると、かえって死亡率が高まった、という臨床試験。机上(実験室内)と現実は、しばしば噛み合わない。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1212722#t=article
NST領域の推奨は、こんなことを言うと怒られるかもしれないけれど、エビデンスが希薄なものが多い。わりとちゃんとしたテキストや教材でも、「ホントかなあ、本当に患者さんの利益になっているのかなあ。理論上は、の話じゃないの?」と思ってしまう推奨事は多い。全国の栄養士さん、怒らないでね。データを伴う反論は歓迎します。
そういえば、こないだもオーガニックな食べ物で健康になれるなんてエビデンスはないよ、という論文がAnnalsに出ていて大揉めに揉めていましたね。もろ、利害関係が絡んでいますから、泥仕合でした。
http://annals.org/article.aspx?articleid=1355685
病院でぼくがとくに気になっているのがアミノ酸製剤。アミノフリードとか、ビーフリードというやつ。あれが実にたくさんの患者さんにくっついている。経口摂取している患者にも「おやつ」のように付いている。
あれって患者に利益あるの?諸外国には存在しない点滴薬は実に多いが、あれで日本の患者がグングン予後が良くなったりしてるんだろうか。
なんで感染症屋のぼくがアミノフリード、ビーフリードを気にするかというと、人間への栄養は菌への栄養でもあり、カテ感染を惹起していないかという懸念があるからである。
末梢ルートからのアミノ酸製剤投与中に発症したカンジダ血症4例の検討:静脈経腸栄養(1344-4980)23巻2号 Page402(2008.06)
まあ、アミノ酸製剤が他の点滴に比べて有意に感染を増やす、という確たるデータはない(研究すべきだよね、ぼく)。が、確実に言えることは、「カテが入っていなければ、絶対にカテ感染は起きない」というシンプルな事実である。
Pubmed, google scholar, dynamedとかで調べてみたけど、アミノ酸製剤が「臨床的に意味のあるアウトカム」を提供しているという論文は見つけられませんでした。そのリスクを凌駕するような臨床的利益ってどこにあるんでしょうね。
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