読後の感想は、「うーん、やられた」である。
JIMに連載していた時から、(ぼくも隣で連載していたので)サラサラっと流し読みしていたが、本書は単行本にしてこそ高い意義がある。それは冒頭にあるオーバービューの存在からも明らかだ。
正直、他人がぼくの知らないことを知っていても全然気にならない(よくある話だし)。が、ぼくの知っていることをはるかに深く形容されると「うーん、悔しい、一本取られた」という気持ちになる。今は、そんな気持ち。
岸田先生はレクチャーも抜群に上手いけれど、疾患の形容が本当に上手ですね。患者をよく見ているということ、それからそれを概念化するのに長けているからなのでしょう(要するにに良い診療医なのでしょう)。
咽頭痛を嚥下痛のあるもの、咳を伴うものに分けたり、マイコプラズマを細菌とウイルスの中間に位置させたり、風邪をウイルス、抗菌薬不要の細菌、そして細菌にわけたり(この図は秀逸!)、atypical goutや非典型的な甲状腺炎にも目配りが効いていたり、、、、どれもこれも素晴らしい形容である。
本書を3回くらい通読すると、多分かなり「風邪」の診療は激変するのだと思う。日本中のすべての診療医必読!というタイトルはダテではない。
風邪の本をいつか書こうと思っていたけど、気が失せました。
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