2008年に本書の第一版が出た時、もちろんこれに比肩する類書はなかった。某病院某診療科ではいろいろな悪性疾患を診ていたが、発熱時の対応は、まあ控えめに言って「むちゃくちゃ」だった。ぼくは苦心して、「がん患者の感染症診療マニュアル」をそこの医局員に配りまくり、「基本、原則はこうやってやるんですよ」と伝えて回ったものである。
さて、気がつくと2012年に本書の第2版が出ていた。ぼくが好む「ブレット方式」で歯切れよく書く項目についてコンパクトに説明されている。通常は版が改まると本は「分厚く」なるものだが(すんません、、、)本書はマニュアルに必要なコンパクトさを保っている。基本的な文献やガイドラインを抑えつつ、日本の事情も勘案しつつ、さらにクリニカル・パールもちゃんと抑えている。学生、研修医はがん患者を見ても見なくても、本書から学ぶところは大きいはずだ。FNにおける「患者の何気ない言動や症状にも気を配る」、真菌感染症の「白苔を認めなくても口腔内カンジダ症のことがある」(見逃したことあります)とかもいいですね。三次性腹膜炎とかも勉強になりました。
こんどは、配らなくても、みんな読んでくれるかなあ。
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