亀田で総合診療と感染症のトレーニングを受けた井本一也先生が、済生会横浜市東部病院で後期研修医を募集しています。以下、情報です。
http://www.tobu.saiseikai.or.jp/ip/general_internal_medisine.htm
1.総合内科コース目標
- (実践)総合病院の中で複数の問題に渡るProblemを持つ病棟あるいは外来患者に対して、患者の病態、患者の置かれた社会的状況、そして本人の希望にあった目標を設定し、できる限り最短距離で解決していくことができる。
- (教育)初期研修医、後期研修医に対して、上記の実践が可能になるようサポートができる、またいかなる専攻に進む場合でも身につけておくべき臨床医の基礎的技能、態度について指導ができる。
- (発信)自身の経験、自施設の経験について、積極的に発信し、他施設と知識/経験を共有していく。
最終的に医療チームの中で専門に偏らないトータルなケアができる総合内科医として独り立ちできる。
以上の目標達成の結果として、研修中に内科認定医、修了後に総合内科専門医を取得する。
臨床医の業務の基本は様々な訴えを持つ患者に向き合い、問題点を抽出した上で、医療資源を有効に活用し、最低でも一人の患者につき1日一つ問題点を解決すべく努力することであると考える。
研修必修化にあたりこの基本を教え込むのが内科研修において必要であったと考える。ただし、それまで専門技能の提供に主眼を置いた卒後教育が主流であった
ため、指導できる医師は少なく、それが研修病院間の格差となり、今も大きく変わったとは言えない状況である。
このコースではそれが実践でき、教えられる医師を養成するのが目的である。
当院は救急診療について横浜市東部の中核施設となっており、外傷以外にも内科系疾患が数多く受け入れている。当科は外来、救急センターを通して入院した、診断の付いていない症例、問題点が多岐にわたる症例について、診療に当たっていく。
診療は病歴聴取、それに基づいた診察を行った上での鑑別診断の列挙に始まる。
そして診断の確定のために必要な検査を組み、結果に基づき診断、適切な治療を提供する。
これを繰り返し行い、また研修医に指導していくことにより身につけてもらう。
初期研修医は総合内科ローテーションが必須になっており、このうち3-4か月を当科ローテーションとして、患者の直接の担当医として診療に当たってもらうことを予定している。
基本的には初期研修医が自ら診察し、考え治療方針を決めることとし、彼らが手助けを必要としているときに当科後期研修医は適切にサポートに入ることが求められる。
研修期間は主に総合診療科で指導に当たってもらい、一定期間他科のローテーションを行ってもらうようにする(期間については個々の希望、スタッフの状況に
よる)。また他の指導医に指導を受けることも有用であり、希望に応じて他施設での研修の機会も希望のもとに設けるようにしたい。
Dutyとしては
・総合内科外来2コマ、内科救急当番1、2コマ
・当直4-5回/月(明けは基本的に休み)
・午前:新入院カンファレンス 午後:病棟業務、既入院患者についての相談は随時
・抄読会1回/週、症例検討会(診断、方針の決定困難な患者に対して、オープンなカンファを
行う)2回/週
総合内科コースの基本は3年間で修了となる。その後は当院スタッフ、あるいは他施設の総合内科での指導医のポジションに推薦する。
1年目:
総合内科ローテーションが主体。病棟を研修医と組んで治療に当たる。上記Dutyに参加してもらう。希望とスタッフの状況により他科(救急、集中治療、内科系、その他相談)をローテーションする。
自験例について院内、院外研究会、地方会に発表する(初期研修医のサポートをすることもあり)
2年目:
総合内科ローテーション+他科ローテーション。1年目の後期研修医の指導を行う。
院内での研修医へのレクチャー、学会発表を行う。
3年目:
総合内科ローテーション、他施設を含めた研修。スタッフに準じて、初期、後期研修のまとめ役となる。後輩の発表の指導ができる。
2.感染症専攻コース
目標
研修終了後に他施設で感染症科の指導医として働けることを目標とする。
感染症診療はこれまで日本ではそれぞれの科の医師の裁量によって行われてきたが、医師の卒前卒後教育に感染症診療の基本原則を教わる機会は乏しく、また抗菌薬も多様化し、耐性菌の問題も複雑化し各科の医師が専門の片手間に行うことが困難になっている。
感染症科医は各科の感染症診療について、感染管理の視点も持ってより良い治療を提案していくのが
主な仕事である。日本において感染症科のコンサルテーションは診療報酬には直接かかわらないが、
感染症について安全でより確実に、より適切な治療期間で、可能であれば安価に診療できることで間接的に寄与できる。
これまで日本国内においては熱帯医学、HIV診療といった特殊な感染に限った研修は行われていたが、日常の診療の中で遭遇する感染症と感染症を起こす微生
物学の知識、いかに適切に治療するかという抗菌薬の知識、医療施設全体の感染制御の知識、旅行医学、予防接種の知識の習得、コンサルテーション対応を含め
た総合的な感染症の研修は現在でも少数の施設でしか行われていない。
当コースはそのような状況の中指導医を目指す医師を養成するコースとして設けられた。本コース指導医は国内における感染症診療研修施設の一つである亀田総
合病院感染症科フェローシップにおいてアメリカ感染症専門医を取得した指導医、臨床微生物学、検査医学を専門とする指導医から、日本の実情にあった感染症
診療、感染症科研修を展開できるようトレーニングを受けてきた。
当施設は総合内科コースの説明で述べたとおり、横浜市東部の外科、内科問わず重症患者が集まる施設であり着任後各科よりコンサルテーションを頂いている。
特に外傷、外科系の感染症のコンサルテーションはコンスタントにある。また細菌検査室と連携をとり、血液培養、その他培養で有意な菌が検出された場合に担
当医と共に診療に当たっている。
感染症専攻コースの基本業務は他科からのコンサルテーションを受け、総合内科入院患者の感染症を中心とした治療にあたることである。院内では基本的にロー
テーションは行わない。併せて院内の感染症レクチャー、感染対策セミナーのレクチャーを担当し院内の医師、コメディカルの教育の機会を設ける。
当施設は、内科系では血液内科、膠原病内科に常勤医がいないため、入院患者で免疫抑制患者のコンサルテーション経験症例がやや少ない。また現時点でHIV
患者をコンスタントにフォローしていないため、HIV診療の機会が少ない(現在準備中)。そのため、免疫抑制患者の多い施設に研修に出ることを奨励する。
また感染症の治療に必要な臨床微生物学の知識、技術の習得目的として微生物検査室の実習の機会も設ける。感染管理については、院内感染管理委員会、並びに
院内感染チームの一員になり、経験を積む。希望があれば期間を設けて感染管理の実習を行うことも可能である。
さらに希望があれば国内外含めた熱帯医学などの講習会に参加する事もできる。
Dutyについては総合内科コースに準じる。感染症チームは毎日午後にコンサルト症例についてのカンファレンスを行う。
当院は感染症学会認定研修施設となっており、当院で3年間の研修を終え、会員歴、発表歴を満たせば感染症専門医受験資格が得られる。当院での研修終了後専門医資格を取得することが望ましい。
トレーニングの基本は総合内科コース、感染症専攻ともに現時点で真っ当とされるアプローチの反復練習であると考える。
各研修医のこれまでの経験、到達度、希望、体力に応じて症例を経験してもらい、最終的にどのような医療施設でも総合内科医/感染症科医として働けるようになるような研修にしていきたい。
総合内科コースについては内科のSubspecialityに進む前段階としての短期(1,2年)の研修も可能である。
総合診療コースの期間中における感染症専攻への切り替えについても相談に応じる。
当プログラムは感染症へのアプローチを重点的に研修するため、Subspecialityの準備には適していると考える。
感染症専攻は基本的に卒後4年目以降を対象とする。当プログラムについては感染症の予備知識については問わない。知識ではなく、理にかなっていて、現実に即した臨床判断、それに基づく行動ができることが求められる。
総合内科コース、感染症専攻コース指導医:井本 一也
(総合内科部長代理 日本内科学会総合内科専門医、2010亀田総合病院感染症科フェロー修了)
総合内科コース指導医:比嘉眞理子(副院長、糖尿病・内分泌内科 部長、 日本糖尿病学会 専門医・指導医・評議員、 日本内科学会総合内科専門医、プライマリーケア学会 認定医)
日本感染症学会認定カリキュラム責任者:小松 陽樹(小児科副部長、感染症学会指導医)
1.総合内科週間スケジュールモデル
(外来2コマ、救急当番1コマの場合 新患カンファは1時間30分程度を予定終了後回診)研修指導者、指導医
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2.感染症専攻スケジュールモデル
(Dutyはこの通りになるか未定)
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