研究は、ノイズを嫌うので、面倒くさい合併症を有する患者は除外する傾向にある。しかし、ぼくらの目の前にはそういう患者しかいないのだ。こういう研究はいいですねえ。
腎臓が悪いと出血のリスクは増す。この論文によるとワーファリンの使用で虚血性のストロークのriskも増すらしい(なんで?)。とにかく、話は面倒臭い。
結果、、、、透析患者ならワーファリン使ったほうが良い。でも、その効果は微妙。
微妙、なのが大事になる。では、足が不自由な患者ではどうか。目が見えない患者ではどうか。糖尿病ではよくある話だ。よって、患者の状態や価値観が重要になる。名郷先生がよくおっしゃることだが、EBMを勉強すればするほど、患者の個別な情報が重要になる。たいていのエビデンスは「微妙」だからだ。患者との対話は必然であり、それはヒューマニズムの発露ではない、と僕は言いたい。
こういうスタディーを読むと悩みが増える。臨床医学は難しいと改めて思う。それが大事なのである。臨床なんて簡単さ、と言い出したら、それは没落の始まりなのだ。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1105594
先生のブログではいつも勉強させて頂いています.
腎臓内科医をしておりますが,透析患者のワーファリン使用はいつも悩みます.
血液透析患者における心血管合併症の評価と治療に関するガイドライン
透析会誌44(5):337-425,2011
では,「透析患者のワーファリン使用は原則禁忌」です.
心臓弁を人工弁に置換した場合などの,限られた状況でしか使用していないかと思います.
ワーファリンはビタミンKに拮抗するので,骨やCaの代謝に影響してしまい,血管の石灰化による動脈硬化がすすみ,心血管系疾患の発症増加に関係しているように理解していますが,非常に大雑把な話で申し訳ありません.
また,カルシフィラキシスは重篤な合併症で透析患者のワーファリン使用例に多いことは知られています.(感染を合併するので先生も御覧になったことがあるかも知れませんが...)
文章が下手であれですが,
腎疾患患者では,出血よりも怖いワーファリンの合併症があるんです,
と言いたかったんです.
投稿情報: Lastwill22 | 2013/01/06 09:30