不明熱の教科書を作りたいと前々から思っていた。しかし、「そんなマニアックな内容、需要があるの?」と周りは懐疑的で、なかなかうまくいかない。なんとかケアネットからDVDを作ることができたが、Cunhaたちみたいな網羅的なテキストを作りたいと思っていた。でも、あれやこれやでどうしてもうまくいかず、その代わりに不明熱診断のメタレベルに当たる「構造と診断」だけが出来上がった。
今回、名古屋第二日赤の野口善令先生たちが「この1冊で極める不明熱の診断学」を上梓された。やられた、先を越された、という感じである。読んでみると、これが内容もよくできている。ぼくらは不明熱慣れしているので、いろいろなことを「流して」しまう。本来ならば言語化して学生や研修医に示すべきところも「そこは当然でしょ」と流していたところも多々あった。本書を読んでそこがうまく認識され、反省もさせられた次第。ぼくだとこういう言語化はできないなあ。
やっぱり、ちょっと悔しいです。
不明熱とは要するに、医者がぱっぱと診断できない発熱のことである。それは医者依存的である。不明熱、迷宮入りにならなくて良いのに、不明熱化しているケースはとても多い。本書は不明熱のプロになりたい人ではなく、誰もが見る「熱」が「不明熱」にならないための普遍的なテキストである。学生、研修医、病院勤務医、開業医、、、広く読まれてほしいと思う。ふう、やっと羨望の念を昇華できた。
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