Pott病について
Pott病とは
Pott病は脊椎の結核である。好発部位は下部胸椎や腰椎で、典型的な症状としては疼痛・腫脹があります。数週間から数ヶ月の単位で緩徐な経過を示す。
Pott病では最初に椎体の前上方または前下方の角に病巣を生じ、それらは椎間板や隣接する椎体へと広がっていく。椎体内の組織は乾酪壊死をきたし、進行した病気では椎体が崩壊し脊柱後弯をきたす。また傍脊柱冷膿瘍が形成されることもあり、上方の脊椎ではこの膿瘍は軟部組織腫瘤として胸壁に瘻管を作り、穿孔する。下方の脊椎では鼠径靱帯へ到達するか腰筋膿瘍となる。合併症としては、病巣や膿瘍が脊髄を圧迫することによる対麻痺がある。
診断
まず病歴を聞くことが重要で、出身国、結核の家族歴、結核との接触歴などが診断の手がかりとなる。これに加え、背部の疼痛、傍脊柱筋の痙縮がある場合はPott病を考慮に入れる。
X線検査では、初期には軟部組織の腫脹、骨萎縮、椎間腔の狭小化が見られ、進行すると構造の崩壊、硬化、軟部組織の石灰化が見られる。MRIでは病巣の広がりや脊髄神経の侵食などを調べることができる。
鑑別すべき疾患としては、黄色ブドウ球菌、ブルセラ、類鼻疽菌、放線菌、カンジダ、ヒストプラズマによる亜急性または慢性感染や、腫瘍の骨転移などがあげられる。
確定診断は生検によって得た検体の顕微鏡検査や培養検査によって、結核菌の存在を確かめることでなされる。
治療
原則、肺結核に対する化学療法と内容・期間とも同じである。2ヶ月の初期相でのイソニアジド、リファンピシン、ピラジナミド、エタンブトールと、引き続く4ヶ月間の維持期のイソニアジドとリファンピシンで治療する。菌陰性化が遅い場合(2ヶ月目でも培養陰性など)は維持期治療期間を3ヶ月延長し計9ヶ月間の治療を行う。脊髄神経の圧迫解除、脊椎の安定化、膿瘍のドレナージを必要とする場合は手術療法を行うことが効果的である。
(治療効果判定)
治療の反応性は疼痛、可動性、随伴する神経徴候のような臨床的な兆候によってモニターする。X線上の反応は細菌学的反応より遅れ、感度がそれほど高くないため、X線写真による治療のモニタリングはすすめられない。
<参考文献>
1, Mandell, Douglas, and Bennett’s PRINCIPLES AND PRACTICE OF INFECTIOUS DISEASE 7th edition
2, Harrison’s PRINCIPLES OF INTERNAL MEDICINE 17th edition
3, レジデントのための感染症診療マニュアル 第2版
4, UpToDate (Skeletal tuberculosis)
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