ま、細かいエラーはあるけど、学生だからよいか。最近ではめっきり減ったけど、HIVの感染予防については医者でも知らない人がいるし。無知で思考停止になるから、診療拒否とかいう恥ずかしい判断になる。
HIVウィルス感染予防について
☆HIVウィルスの感染経路
HIVウィルス感染にはさまざまな経路が存在する。各経路とその経路でのHIV感染率を(表1)に示す。
・医療行為による感染
針刺し事故 0.36%
粘膜への暴露 0.09%
・その他の経路による感染
*男性間の性交渉の例
直腸での受身の性交渉 2%
直腸への挿入 0.06%
口での受身の性交渉 0.04%
*男女での性交渉の例
膣での受身の性交渉 0.1%
膣への挿入 0.006%
針の共有 0.67%
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(表1)HIVウィルスの感染経路*1 医療行為による感染では針刺し事故による感染率が最も高く0.36%となっている。
これは男女間の性交渉による感染率より高くなっており、医療行為を行う際の針刺
し事故予防が重要であることがわかる。また医療行為以外での感染では男性間での
直腸を使用した受け身の性交渉による感染率が最も高く2%となっている。性交渉
による感染でも挿入する側か受ける側かによって大きく異なっている。
☆HIVウィルスの感染予防
HIVウィルス感染予防には暴露前予防と暴露後予防がある。
●HIVウィルスの暴露前予防
暴露前予防の手段として第一に、HIVウィルス感染に関する教育があげられる。
HIVウィルスに感染しないためには、HIVウィルスの感染経路やどのように暴露
を予防できるかを教育することでHIVウィルスへの感染拡大を防げる。実際に
HIVウィルス感染軽減のためのカウンセリングやコンドームの配布をおこなった
事例でコンドームの使用率が上昇し、直腸を使用した性交渉が減少したという報告がある。*2第二に、抗レトロウィルス薬を用いた予防である。テノフォビルとエムトリシタビンを用いた調査では、この2剤を予防的に服用することで感染が減少していた。しかし、抗レトロウィルス薬は高価であり、副作用もあるため、すべての人に予防的に服用させるのには向かない。また、予防的に服用する際に薬物コンプライアンスが悪いと薬物耐性ウィルスの出現を助長することにもなりうる。これらの理由から、抗レトロウィルス薬を用いた予防は男性と性交渉を持つ男性で、(表1)のなかで感染リスクの高い行為を繰り返す人に対して推奨されている。*3
●HIVウィルスの暴露後予防
暴露後予防は感染経路によりことなる。医療行為によるウィルスの暴露では、まず暴露後すぐに汚染部に触れないようにして、直ちにその周囲を圧迫し、血液を搾り出しながら流水で洗い、アルコールで消毒し、その後できるだけ迅速に(暴露後1~2時間以内に)抗レトロウィルス薬の多剤併用を開始し、28日間服用することが勧められている。これは、体内に入るウィルス量を減少させ、迅速に抗レトロウィルス薬を服用することでウィルスの細胞への感染を防ぐことがわかっているためである。*4医療行為による感染以外の感染経路による暴露では、今までに暴露後予防の有用性を調べた研究がないため、実際の予防効果は不明である。しかし、動物実験や周産期母子感染予防を目的とする臨床試験、医療従事者の感染事故対策に関する研究などにより、曝露直後の抗レトロウィルス薬投与がHIVの感染率を下げることが明らかになり、サル免疫不全ウィルスでの実験において、ウィルス感染後18時間でリンパ節にウィルスが発見されたことから、感染を予防あるいは進行を阻止する機会は、曝露後短期間に限られることが示された。これにより性交、薬物注射、外傷などによりHIVに曝露された可能性場合、72時間以内に強力な多剤併用療法開始し、28日間継続するよう推奨する動きがある。*1しかし、医療行為による感染の場合とことなり、HIV陽性が判明している対象者から曝露を受け、感染リスクが大きい人が、曝露後72時間以内に受診した場合に限られている。
《参考文献》
*1 Nonoccupational exposure to HIV in adults, Joseph Eron ,David J Weber Up to Date 19.2
*2 Grant RM, Lama JR, Anderson PL, et al. Preexposure chemoprophylaxis for HIV prevention in men who have sex with men. N Engl J Med 2010; 363:2587.
*3Pre-exposure prophylaxis against HIV infection, Kenneth H Mayer, MD Up to Date 19.2
*4 Management of healthcare workers exposed to HIV, John G Bartlett, David J Weber, Up to Date 19.2
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