これもちと甘い。診断とはそれであって、それ以外でないということなのだけど。教科書はよく読んでましたね。
粟粒結核の診断と治療方針
<はじめに>
粟粒結核は、感染の初期において細胞性免疫が反応しなかったり、十分に強い免疫応答ができなかった場合に結核菌が血行性伝播することにより起こる。このことからわかるように、乳幼児、高齢者、免疫抑制薬を服用している患者、HIV患者といった健常人に比べて免疫力が弱い人が高リスクとなる。
また、この疾患は最先端の現場でさえしばしば見逃される疾患であり、アメリカでは全症例のうちのおよそ20%もの症例が死体解剖で見つかるとも言われている。
<診断>
患者は発熱、倦怠感、食欲不振、脱力、体重減少、寝汗などの非特異的な症状を訴え、高齢者の場合は臨床症状がはっきりしないこともある。身体所見では肝腫大、脾腫、リンパ節腫脹といった慢性疾患の患者にあるような非特異的なものが多いが、眼底検査で脈絡膜に脈絡膜結核が見られることがあり、これは粟粒結核に特徴的で、最大30%の症例で見られる。しばしば胸部X線上で粟粒、網状顆粒状陰影が見られるが、病気の初期(感染から数日~数週間くらい)には確認されない。他の胸部X線上の異常所見としては肺門や縦隔のリンパ節腫脹、間質性浸潤などがある。また、HRCTを使えばより敏感に陰影を映し出すことができる。喀痰塗抹検査の感度は低く、20%程度であるとされている。経気管支的針生検は感度が高く、肝生検や骨髄生検で肉芽腫が見つかれば診断を確定できる。
<治療方針>
粟粒結核は治療が遅れると致命的になるので、初期に適切な治療を行うことが特に大事になる。治療方針自体は通常の結核と同じである。つまり、4種類の一次抗結核薬(isoniazid,rifampicin,pyrazinamide,ethambutol)とこれらに耐性がある場合に使われる二次抗結核薬(streptomycin,kanamycinなど)を用いて行う。多くの結核において最初2ヶ月間 isoniazid,rifampicin,pyrazinamide,ethambutolの4剤を使用し、その後4カ月間 isoniazid,rifampicinを使用するのが良いとされているが、粟粒結核も例外ではなく、これまでの臨床試験でこの処方で治療できることが示されている。
<参考文献>
・Up to Date “Clinical manifestations; diagnosis; and treatment of military tuberculosis”
・ハリソン内科学 第3版 メディカル•サイエンス•インターナショナル
・レジデントのための感染症診療マニュアル 第2版 医学書院
・感染症診療スタンダードマニュアル 第2版 羊土社
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