これも詰めが甘いけど、よく勉強しているから、いいや。ご苦労様
狂犬病予防について
狂犬病は基本的に、本疾患を発病している動物に噛まれることによりヒトに感染する人畜共通感染症である。狂犬病ウイルスはほとんどの哺乳類に感染し、世界中に分布している(図1)。
イヌは第一の病原巣かつ媒介動物で、アジアやアフリカではヒトへの主要感染源となっているが、北米やヨーロッパではイヌへのワクチン接種などにより駆逐され、他の野生動物による狂犬病が増加している。2006年のアメリカのサーベイランスによると、6940件の動物の狂犬病のうち、家畜によるものは8%に過ぎず、その内訳はネコ318件、ウシ82件、イヌ79件となっている。基本的に家畜の感染は、コウモリ、アライグマ、スカンク、キツネといった野生動物からの漏出で、家畜から家畜への感染は報告されていない。
狂犬病は、通常1~3ヶ月の潜伏期間を経て発病する。一度発病するとほぼ100%死亡する致死的感染症であるが、潜伏期間中に適切に暴露後予防を行うことでほぼ確実に予防できる。医師はウイルス暴露およびその地域の疫学情報をもとに、暴露後予防を開始すべきかどうかを決定する。図2に暴露後予防のためのフローチャートを示す。
暴露後予防には、局所の傷の処置と能動的および受動的免疫が含まれている。
①咬傷処置:15分間石鹸や水でよく洗い流し、さらにエタノール700ml/Lまたはヨウ素水溶液で消毒する。処置により、狂犬病ウイルスの感染を90%減少させることができる。また、死滅した組織は取り除き、破傷風予防と抗菌薬投与を行う。
②受動免疫:ワクチン未接種の患者には、狂犬病免疫グロブリン
rabies immunoglobulin(RIG)20IU/Kgを投与する。直ちに利用できない場合
でも、1回目のワクチン接種後7日以内に接種する。全量を咬傷部傷口の深さ
まで注射する。傷が多数あるいは大きい場合は、すべての傷口に浸潤する
投与量を得るために、生理食塩水で2~3倍に希釈してもよい。粘膜暴露の
場合は、全量を筋肉内に投与する。米国で市販されているRIGは精製された高度免疫ヒト血清であるが、ヒト由来RIGが利用できない場合、精製ウマ由来RIG 40 IU/kgを同じ投与方法で用いることができる。
③能動免疫:ワクチンは1回1mLを5回三角筋に接種する。小児では大腿部の前外側部でも可能である。第1回目のワクチン接種は咬傷後できるかぎり迅速に行うのが理想である。残り4回の接種は、3,7,14,28日目に行う。妊婦、乳幼児であっても免疫を忌避すべきではない。
狂犬病の発生している地域への旅行者、狂犬病に感染する恐れのある職業につとめる人々に対しては、暴露前予防を実施するべきである。ワクチンは0,7,21または28日目の3回接種で、その後のブースター接種の要否を決めるには中和抗体の測定が役に立つ。ワクチン接種済みの人が狂犬病に暴露された場合は、0日と3日目のブースター接種でよく、RIGの接種は必要ない
参考文献:HARRISON’S INTERNAL MEDICINE 17th Edition Volume1, p1222~1226, Fauci・Braunwald
WHO guideline for Rabies Pre and Post-exposure Prophylaxis in Humans
: http//www.who.int/rabies/PEP_prophylaxis_guidelines_June10.pdf
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