難しいテーマをよくまとめてくれました。僕も勉強になりました。
感染症内科BSLレポート(日本の緩和ケアの制度について)
緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、 心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処(治療・処置)を行うことによって、 苦しみを予防し、和らげることで、QOLを改善するアプローチである。(WHOの緩和ケアの定義 2002年)
日本で緩和ケアを提供する制度
緩和ケア病棟、緩和ケアチーム、専門外来、在宅療養(訪問診療、訪問看護、訪問介護、ディケアなど)がある。※「在宅療養」とは、自宅以外の居宅系施設における療養も含む
日本で緩和ケアを受けるための条件
1)悪性腫瘍、後天性免疫不全症候群(AIDS)などに罹患し、緩和ケアを必要とする患者を対象とする。
2)患者と家族、またはその何れかが緩和ケアを望んでいることを原則とする。
3)緩和ケアの提供時に患者が病名・病状について理解していることが望ましい。もし、理解していない場合、患者の求めに応じて適切に病名・病状の説明をする。
4)家族がいないこと、収入が乏しいこと、特定の宗教を信仰していることなど、社会的、経済的、宗教的な理由で差別はしない。
緩和ケアの費用について
厚生労働省から「緩和ケア病棟」として承認を受けた施設での入院の場合、医療費は定額性になっている。厚生労働省から認可を受けた緩和ケアチームによる診療を受けられる場合には、入院にかかわる医療費などに加えて、「緩和ケア診療加算」として定額の費用がかかる。在宅ケアは患者の様態に応じて訪問診療や訪問看護、介護の組み合わせが無数にあり、それぞれに費用が異なっているが、介護保険によって費用の自己負担を軽減することができる。
1ヵ月の医療費の合計が一定額以上になる場合には、高額医療費制度を使用して自己負担限度額を超えた部分の払い戻しを受けることができる。そのほか身体障害者手帳を持つことができれば、医療費の負担軽減、その他のサービスを受けられるようになる。
制度の問題点
近年、緩和ケアは終末期医療だけを指すものではなくなってきた。そのため需要が拡大してきており、現在ではそれに対する供給が追いついていない。よって今後緩和ケアに対する医療はこの需要にきちんと応えることができる制度を構築していく必要があると考える。
参考文献:特定非営利活動法人 日本ホスピス緩和ケア協会http://www.hpcj.org/index.html
がん緩和ケアに関するマニュアル: がん末期医療に関するケアのマニュアル 第3版
財団法人 日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団 2010.
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