6年生作成のレポートです。よくがんばりました。
カンジダ症に対する臨床的アプローチ
カンジダは皮膚、消化器などに準常在的に存在するため、培養にてカンジダが検出されても一概にカンジダ症ということは出来ない。単なる汚染や定着であるのか感染症であるのかを区別する必要がある。そのためにカンジダ症のリスク(表1)を評価し、臨床症状と併せた上で治療開始の決定を行う。また、ICU長期入院中の患者さんの感染症治療の際、カンジダをカバーするかどうかの指標にカンジダスコア(表2)を用いることがある。菌の同定が出来ず治療を開始する必要がある場合、広域のエキノキャンディン系もしくはアムホテリシンBで開始し、その後、培養の結果と薬の感受性を併せ、効果のある抗真菌薬を選択する。今回は年齢、HIVの有無、感染部位という観点で分類を行う。
(1)成人・小児のカンジダ症
① HIV患者
HIV患者においてカンジダ症が問題となるケースで代表的なものは、皮膚粘膜カンジダである。具体的には口腔カンジダ、食道カンジダ、その他の消化管カンジダがある。他の悪性疾患がベースにあり、消化管潰瘍を形成している場合、播種性の感染症、敗血症を伴うことが多いのに対し、HIV感染症では消化管に限局していることが多い。
② 非HIV患者
表在性カンジダ症→非HIV患者である場合、ステロイドの使用、化学療法、抗菌薬の使用、糖尿病などがベースにあることが多い。口腔カンジダ、外陰部カンジダ、皮膚カンジダなどがある。
深在性カンジダ症→代表的なものとして、播種性カンジダ症がある。播種性カンジダ症がベースにあり、肝膿瘍、尿路、関節・骨、中枢神経、心血管系などに播種するケースが多い。好中球減少を伴うケースと伴わないケースで治療内容や治療期間が異なる。
(2) 新生児のカンジダ症
未熟新生児の蘇生技術の向上により1000g以下で出生する児が増加している。未熟新生児である自体がカンジダ症のリスクとなり、新生児のカンジダ症が増加している。新生児カンジダ症で特に問題になるのは、カテーテル関連のカンジダ症であり、播種性カンジダ症を引き起こす最大のリスクである。播種性カンジダ症の結果、尿路、中枢神経、心臓、肝臓、眼などに感染が及ぶこともある。
(表1) カンジダ症のリスクファクター |
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中心静脈栄養、カテーテル使用 |
広域スペクトラムの抗菌薬使用 |
APACHE scoreが高値 |
腹部・心臓の術後 |
熱傷・未熟新生児 |
透析を必要とするような急性腎不全 |
免疫抑制、悪性腫瘍、糖尿病 |
HIV |
(表2) カンジダスコア |
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対象;好中球減少がなく、ICUに7日以上入院している患者さん |
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中心静脈栄養 |
1点 |
外科術後 |
1点 |
2か所以上の離れた場所でのカンジダの定着 |
1点 |
2点 |
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コメント
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