古典的な問題だが、5年生がこれにとっくむにはいくつかハードルがある。これはよくできていたと思うよ。
髄膜炎を疑った患者に対してのCT検査
髄膜炎が疑われた成人に対しては、腰椎穿刺が禁忌でない場合は原則として腰椎穿刺を行う。
腰椎穿刺が禁忌となる場合は、頭蓋内に脳腫瘍や脳出血などの占拠性病変があり頭蓋内圧が亢進しているときで、事前に頭部CTで頭蓋内圧亢進の原因となる病態が無いかどうかを確認しておく必要がある。
髄膜炎が疑わしい患者においてそのような理由で頭部CTをとるのはよくあることであるが、それによって髄膜炎の治療を遅らせるべきではなく、髄膜炎を疑ってから30分以内に治療を開始することが重要であるとされる。[1]
実際に、ほとんどの患者においてCT検査が不必要であるとされていて[2,3]、そのためCTで異常所見が認められそうにない患者を識別する必要がある。頭部のCT検査を実施する前に、その患者にみられる臨床的な特徴を使用できるかどうかが調べられ、頭部 CT の異常所見と関連があると考えられる臨床的な特徴として以下のものがあげられた。[2]
(1) 年齢が 60 歳以上
(2) 免疫不全状態、中枢神経系疾患の病歴がある。
(3) 来院前 1 週間以内における痙攣の病歴がある。
(4) 以下に示すような神経学的異常がある
:異常な意識レベル、連続して尋ねた 2 つの質問に正しく答えられない、あるいは連続して与えた 2 つの指示に従えない、注視麻痺、視野の異常、顔面神経麻痺、腕の異常運動、脚の異常運動、および言語障害(たとえば失語症など)。
以上の4つの特徴を持っているような患者は、ただちに治療を開始し、腫瘍や頭蓋内圧亢進のその他の原因を見つけるために、CTをとるべきである。
しかしながら、CTでの正常所見が、必ずしも腰椎穿刺が安全であるということを意味するわけではないとも言われている。[4]
よって最終的に、CT検査を行うか否かは患者にみられる所見を加味して現場で総合的に判断する必要があると考えられる。
参考:
[1]レジデントのための感染症診療マニュアル 第2版 医学書院 p.395-398
[2]Hasbun R, Abrahams J, Jekel J, Quagliarello VJ. Computed tomography of the head before lumbar puncture in adults with suspected meningitis. N Engl J Med 2001; 345:1727.
[3] Gopal AK, Whitehouse JD, Simel DL, Corey GR. Cranial computed tomography before lumbar puncture: a prospective clinical evaluation. Arch Intern Med 1999; 159:2681.
[4] AR. Lumbar puncture and brain herniation in acute bacterial meningitis: a review. J Intensive Care Med 2007; 22:194.
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