勝田先生のブログは本当に有用だが、最近タミフルの効果に対する中国のデータが発表された。BMJである。
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/82cf97412a59256fdd71afc3b35ffdc3?fm=rss
ただし、この論文の評価については僕は異なる見解を持っている。
実際の論文はこれ
http://www.bmj.com/content/341/bmj.c4779.full
まず、これは後向き研究なのでバイアスの問題がある。さらに重要なのが、アウトカムが「レントゲンで確認された肺炎像」とウイルス、熱の長さとぱっとしない。このポピュレーションでは誰一人死なず、ICUにも行かず、挿管もされなかった。ようするに皆元気になったのである。ハード・アウトカムとしては、いかにも弱い。
肺炎像は、レントゲンをとらなければ「肺炎」とは認識されない。12%にみられた肺炎像だが、細菌は検出されなかった「ウイルス性肺臓炎」であった。要するに肺炎を見つけても見つけなくても、やることは同じだったのである。
タミフルがウイルスの排出を抑えたり、熱を下げることは「すでに知られた事実」であり、目新しいことではない。
繰り返すが、インフルエンザに「タミフルを出すべきではない」と僕は主張しているわけではない。「どのように、どのインフルエンザに出すのがロジスティックス的にもっとも妥当か」と頭を悩ましているだけである。それは金の問題であり、副作用の問題であり、将来の耐性ウイルスの問題である(さらにいうと、検査の問題でもある)。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。