ある事情で非常に落ち込んでいる。もともと落ち込みやすいのだ。研修医に「基本、自分が好き」と言う人がいてうらやましく思う。基本的に自分は嫌いだ。
多田富雄の「独酌余滴」を読んでいる。10年以上前の執筆だ。心にしみいる素敵な随筆である。なかに、マラリアにかかったのに東京の病院ではだれも相手にしてくれなかったかわいそうなNYタイムズの記者の話が出ている。あいにく、10年以上たっても事情は全然改善していない。多田富雄と言えば、沖縄時代の盟友、本村和久くんが書棚に「免疫の意味論」を置いていたのを思い出す。当時、あの過酷な研修中に哲学書を読む余力があったのは(そして病棟のナースにケーキを作って持って行くような気の利いた配慮を示せたのは)本村くん以外にありえない。僕らは必死こいてDKAの対応法とか肺炎の時の抗菌薬の投与量とか暗記していた時代である。自分の器の小ささを痛感したものである。
その他、最近良かった本。
青木眞先生が編集されたレジデントノート増刊号。これはよいです。感染症専門医がいないところでどうしよう、という話だが、各執筆者がかなり工夫を凝らしている。感染症界もいろいろ多様な切り方ができるようになってきた。素晴らしいことだと思う。
黒田龍之助さんの本にはまっていて、よく読んでいる。言葉の恣意性やいいかげんさなど、我が意を得る言説ばかりでした。ロシア語勉強したくなっちゃいましたが。今、書き下ろしの本を3冊ばかり用意しているが(翻訳とか連載のまとめを入れるとさらに多くなってohmygo!!だが)、おかげで一冊はめどがたった。キーワードは言葉だ。
少し古い現代のエスプリだが、これは面白かった。西條さん、池田先生、竹田さん、養老孟司、内田樹さんなど、豪華メンバーのオンパレードだ。心理療法についての総まとめにもなった。これも押しだ。それにしても、あちこちつながっているなあ。
これから内田さんの「若者よ、マルクスを読もう」を読もうと思う。
さて、落ち込んだムードを払拭できるか否かは今夜にかかっている。がんばってください、日本代表。第三戦はドラマの連続。がんばっても上手くいかないこともある。世界最高峰の大会で、ここで半分に削られるのだから当然だ。ウルグアイは素晴らしい。アルゼンチンはもっと素晴らしい。マラドーナファンとしては溜飲を下げるような内容だ。でも、メディアは絶対反省しないんだろうな。イングランドも少し持ち上がった。ドイツとは常に良い試合をしているから、とても楽しみだ。韓国はくやしいし、むかつくが非常によいチームだ。韓国は嫌いだが、パクチソンは素晴らしい。オランダもよいが、98年ほどではない。もちろん、74年ほどではない。ブラジルも良いが、過去のブラジル(70とか82とか)ほどではない。スペインはよい。でも優勝は無理なような気がする。どこが勝つのかは全く分からない。まだまだ饗宴は続く。
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