新型インフル総括会議についてブログで書く内容はあまりない。議事録読んでください、という感じである。詳細な議事録がオフィシャル、アンオフィシャルに 出ている。参加者もTwitterで実況中継されていることは承知なのだ。第三回にして議論が噛み合い、深まってきた。繰り返し対話することには大きな意 味があると思う。
取材依頼も多いが、全部断っている。議事録読んでください。そこには僕の言いたいことが書いてある。
報道が間違っていることもある。僕はサーベイランスを厚労省「か」感染研に一元化せよ、とは言っていない。感染研に一元化せよ、と言っている。
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/27435.html
サーベイランスはプロのサーベイヤーの仕事であり、素人である官僚が多忙な時間を削って手弁当でやるべき仕事ではない。そのために必要なのは感染研、情報 センターの質的、量的強化である。第二回でも第一回でもそのことはコメントしたが、スルーされた。3回目にしてようやくこのことが岡部先生含め多くの方か ら発言された。ポリフォニーである。同じことをたくさんの人が言うことが大事である。決してあきらめたり、しらけたりしてはいけない。事実、会議そのもの も空気が変わりつつある。
上田さんが発言したのも、よかった。前から言っているように厚労省の役人はもっと発言すべきである。言いたいことがあれば、きちんと申し立てればよい。今 回の会議は議事録に残り、公開される。財務省や総務省もきちんと批判されている。上田さんは厚労省が危機管理の素人であり、その業務にふさわしくないこと をカミングアウトした。質的、量的人材不足で必要な仕事が出来ていないこともカミングアウトした。これでいいのだ。厚労省の無謬神話と、それから派生する 厚労省悪玉説、陰謀説という古典的アメリカン・コミックの世界観から一歩前進である。
しかし、その一方で厚労省の作った資料はいただけなかった。ああいう恣意的で、言い訳、ご都合主義、自分の立場ばかり強調する資料を資料作り屋がやるのは ルール違反であり、非紳士的であり、見苦しい。ほとんど、資料のねつ造と言っても良い。事前に水際対策のガイドラインを熟読していなければ、たいていの参 加者はころっとだまされてしまうだろう。
水際対策に意味があるか、ないかという二者択一の議論はよろしくない。しかし、水際対策のガイドラインには「基本方針」として、以下の2点「のみ」が記載 されていたのである。
基本方針
・新型インフルエンザに感染した又は感染したおそれのある者(以下「感染者」とい う。)の水際での侵入防止を徹底し、国内でのまん延を可能な限り防ぐこと
・帰国を希望する在外邦人の円滑な帰国を実現すること
「水際対策」が第一号の患者を発見したとき、すでに国内流行は起きていた。理論的にも「水際対策」で感染者の侵入防止は不可能である。そして、在外邦人の 「円滑な帰国」は実現できたとは言い難い。こういうことは率直に認めた方が勝ちなのである。「すりぬけられるのはおりこみ済みでした」なんて女々しい言い 訳をしてはいけない。まあ、言い訳をするのはよいとしても、言い訳「だけ」をして、あたかもすべてはシナリオ通り、みたいな印象を与える卑怯な資料を作っ てはいけない。僕はたいていの個々の官僚は嫌いではないが、こういうイヤらしいことをやる官僚は嫌いである。厚労省の作る資料は製薬メーカーの資料みたい に恣意的で信用できないから(信用は一回失うと取り戻しにくいのだ)、ものすごく集中して読む必要がある。だから、会議の後は疲労困憊だ。
今回、電話会議はできないとのことで昨夜は遅くに東京から帰宅。今日も東京で会議のはしごで、今はまた新幹線の中。でも、自宅で充電したからわりと元気。
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