「アルゼンチンババア」という映画を見ました。面白かったなあ、と思いましたが、面白かったなあ、まででした。何度も繰り返して見たいとはあまり思わない、、、
最近の映画は技術が進んでいますが、それがマンネリ化して「何度も見たい映画」にできなくなっています。例えば、カサブランカは何十回見ても、また見たくなる。
もちろん、「昔はよかった」の懐古主義ではなく。例えば、マンガ。今のマンガはものすごくレベルが上がっていて、何度でも繰り返して読みたいマンガが増えています。もやしもん、PLUTO、大奥、などは繰り返して読むことで味が出てきます。最近の映画は2回は見てもよいな、と思うものは多いですが、3回以降までは魅力がでてこない、、、
落語もおもしろいものは何度聴いても楽しいです。今志ん生の「なめくじ艦隊」読んでますが、面白いですね。その中で、けっこうどきりとする言葉。
「あたしなんか、高座に上がってお客の様子を見ると、今夜のお客さんは、どういう噺を喜ぶだろうかということが大体わかりますよ。、、中略、、やはりその人の好きなものをもっていかねばならぬ。好きなものなら少しくらい味はまずくても、がまんしてくれるんです。
これがあたしたちの頭を使うところです。それにはもっと突っこんで客の相を知る必要がある。そのためには、はなに何かいって、さぐりを入れてみる。それが落語でいう「まくら」なんですよ。、、、中略、、その噺をぶってくすぐりを入れ、日本人とすれば、これで笑うべきもんだということを即座に考えてパッとやる。それでもし笑わなければこうと、長いあいだの高座のカンですぐわかる。つまり客の脈をとるわけですよ。脈をとらなければ薬はもれませんよ。
医者だってそうでしょう。病人の家へ来て、まずその家の様子を見る。ハハア、この様子じゃ栄養不良かな、これだけの生活をしていて、この病気だと、糖尿病じゃないかな、この人は虫も殺さんような真面目くさった顔はしているが、奥さんにないしょで、ヒョッとするとあれがあって、あんまり無理したんじゃないかな、てなことが名医となると大体見当がつく。
そうして、二、三日前からの様子をきき、おもむろに脈を見たり、あーんと口をあけさせて、ベロなんぞのぞいてみたりして、病気がわかるんですよ。つまり大体の見当をつけておいて診察をし、処方箋を書くんですよ」
師匠、参りました。
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