土曜日です。三連休の方も多いでしょう。素敵な秋晴れで雲がきれいでした。医師会の講演で新型インフルエンザの話。楽しんでいただければ幸いでしたが。
朝、あれやこれやのことをやった後、移動。その間、「はじめての現象学」を読みました。現象学の本は何冊も読んでいますが、今回はすごかった。一字一句すべて納得。よく理解できます。竹田さんのこの本がよいのか、自分の感受性が高まっているのか。今月出す本とシンクロするところも多かったので、こちらの理解度が高まっている、というのがたぶんまっとうな説明でしょうか。今月出す本にも、現象学的な話はしょっちゅう出てきますが、原稿執筆時にはよく理解していなかったので、反省です。でも、本を書いたからこそ今回本をよく理解できたのかもしれません。どうなんだろう。
ただ、フッサールの現象学の解説はとことん腑に落ちましたが、その後はあまりいけてなかったような印象も受けました。快、不快、よい、わるいの説明は小児のフロイトやピアジェの決めつけ的な心理学の外挿が多く、「本当にそれでいいの?」という素朴な疑問が置きました。こどもの振る舞いを見ていてこどもの心理やそのあり方が理解できる、という古典的な信念にはちょっと冷静になって考えれば直ちに懐疑の心が起きるでしょう。
同じように、恋愛に関する本質直観にいたっては、かなり疑義たくさんでした。本当の恋愛を経験しない限り、その本質は理解できないですが、そもそも各人が「ほんもの」の恋愛を経験しているか否かは、誰にも分からない。そのときはそうと思っていても、後になって、「これこそ誠の恋愛」と修正するかもしれない。本質直観というのは、恋愛をテーマにとって見れば極めて得がたいもののように思います。自分が体験している恋愛の狂おしい感情を他人が同じように体験しているとは考えがたいのではないか?とか、いろいろ考えるのではないでしょうか。
でも、そういう制限を差し引いても本書はエキサイティングな本で、終わりまでノンストップでした。来週は内科専門医試験のre-certificationなのに、こんなことやってていいのだろうか。ちなみに、この本が面白すぎて今日は新幹線の乗り場を間違え、逆走してしまいました。こういうことは高校生以来ですが、本を読んで夢中になると訳が分からなくなってしまうのです。でも、おかげで乗り換えした新幹線で、あの大物俳優に出くわしました。黒服、ノーネクタイのあの方です。というわけで今日はよい一日でした。
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