日本の感染症界には数々の「謎」があります。どうしてそうなってるの?素朴な疑問を投げかけ続けるのが大事です。
例えば、どうして日本のワクチン行政はこんなに酷いの?
みたいな。
ところで、小児科領域での抗MRSA治療薬でものすごくハベカシン(アルベカシン)が用いられます。これは世界的にも日本でのみ見られる現象です。では、治療効果でそれほどの優位性があるかというと、そんなことはない。
pubmedでarbekacin, human, core clinical journal, children 0-18 yearsで絞り込んで検索できる論文はゼロです(よく、英文だから、と英米反対派は否定しますが、多くの日本人は英語で論文を書いていますし、pubmedには日本語の論文もデータベースに入っていますから、この批判は必ずしも当たりません)。
同じことをvancomycinに行うと295の論文が見つかり、MRSAというタームを加えても25の論文が残ります。teicoplaninだと9個の論文があります。
まあ、
journal.chemotherapy.or.jp/full/05111/051110717.pdf
みたいな論文は見つかりますが、使用実態やTDMのデータがほとんどで、なぜ日本の小児科領域でハベカシンを使うのか、納得するようなデータは見あたりません。そういう理解の仕方でない理由があるのです。
アミノグリコシド系抗菌薬は腎毒性、耳毒性に問題があります。悪い抗菌薬と即断してはいけませんが、長期投与には向いていません。MRSA感染症はしばしば6週間などの長期の抗菌薬投与を必要とします。プロの医療者であれば、どう振る舞うべきか、そこは根源的に考えてみる必要があると思います。なぜ、ハベカシンでなければならないのか、その根拠が明示されるべきなのです。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。