残念ながら、日本の感染症界は脆弱です。ほぼ全てのセクションで、そうです。しかし、各セクションがべつのセクションを非難しても物事は進みません。治療者も看護者も病院も医師会も、学会も行政も製薬業界も、その他諸々の「プレイヤー」たちも同じミッション、同じゴールの元で各人がベストを尽くすのがよいでしょう。
だから、製薬業界を殊更に敵視するつもりは僕にはありませんし、その必要もありません。彼らはもちろんビジネスの世界で生きているのでその原則に基づいて仕事をします。大事なのは、そのビジネスモデルがいかに医療のコンセプトの中で皆のミッションと合致するかでしょう。
例えば、既存のニューキノロン製剤が今度500mg1日1回製剤となって再発売となります。PK/PD的には妥当なので、感染症界としては喜ばしいことでしょう。同じミッションの元で方向性が合致した動きです。一方、これはメーカーにとっても朗報で、新しい剤形で新たなパテントがとれます。向こう4年間はジェネリックの参入を抑えることが出来るのです。薬価的にも有利な面があるでしょう。win winな状況と言えましょう。2.5g製剤で12時間おきに売り出した点滴抗菌薬も、4.5g6時間おき投与を可能にし、「新薬」として新しいビジネスを開始できるのです。ゼロから薬を開発するよりも効率的な考えだと思います。もちろん、我々のインタレストにも合致しています。
大事なのは、前例を作ること。
というわけで、このようなビジネスモデルは他のメーカーも真似したらよいのにと思います。もう、ほとんど薬価が取れなくなった古くて安くて、しかし役に立つ薬をリサイクル、リユースするのです。2gのバイアルを4gにし、12時間おきの製剤を6時間おきにし、、とリフォームしてみてはどうでしょう。そうすれば、もう着れないと思っていたタンスの奥のあの服も、意外によく似合うかも知れませんよ。
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