リスクコミュニケーションはアウトブレイク時には重要です。分かりやすく、簡潔に伝える技術が必要になります。CDCのガイドラインはその点、非常に明解で具体的なメッセージが強くて素晴らしいです。
日本の厚労省も、YouTubeを使ったり、メッセージの出し方についてはだいぶ工夫するようになってきました。でも、やはり通知は分かりづらい。以前から分かりづらいが、ここはあまり改善されていません。「下記のように整理」とありますが、あんまり整理されていませんねえ。同義反復しているし、、、、二重否定もわかりづらい。
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/090513-01.html
平成21年5月9日健感発第0509001号厚生労働省健康局結核感染症課長通知「新型インフルエンザに係る症例定義及び届出様式の改定について」を発出したところ、多くの都道府県等から問合せを受けた項目について、下記のように、整理したので、参考とされたい。
なお、患者の発生状況や検査体制の整備状況などを踏まえ、症例定義を見直すことがあることを再度申し添える。
記
1.疑似症患者について、地方衛生研究所で、PCR検査を実施するまで届出を要しないということか。
疑似症患者であって、法第8条第2項に基づき、新型インフルエンザに感染していると疑 うに足る正当な理由があるものについて、新型インフルエンザ患者とみなし、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第12条第1項の規定に 基づいて届出がなされるものであり、PCR検査を実施するまで届出を要しないというものではない。
僕の対案
ー>そうではありません。PCRを実施していなくても届け出が必要な場合もある。要するに、新型インフルエンザに感染していると疑うに足る正当な理由があれば届け出の対象となるので、PCRがなくても症状や旅行歴から強く「疑えば」届けるべきである。
2.「当該感染症にかかっていると疑うにたる正当な理由」とは何か。
通知に示しているとおり、「疫学的に感染の疑いが濃厚であるかどうか等を勘案して判断することとなる」が、具体的には以下のような観点を総合的に加味して判断いただくこととなる。
(1)疫学的な情報から、感染の疑いが濃厚であるか
(2)他の疾患に罹患している可能性について除外したか
(3)臨床的に、インフルエンザを疑わせる症状等があるか
僕の対案
ー>これは総合的な臨床判断になるので、こうだ、と簡単には明記しづらい。しかし、流行国からの最近の旅行歴や熱、咳などインフルエンザを思わせる臨床症状があり、他の疾患でない場合、それをもって「疑うに足る正当な理由」といえよう。しかし、これは一例であり、このような単純な条件付けで複雑な臨床判断を安易に簡素にしてしまうのは危険であろう。
疑いとは0%から100%までの量的な概念であり、「ある」「なし」といったカテゴリーでは分類できない。当該患者の疑いの重み付け(検査前確率)を行うことが大切だと考える。
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