前にもとりあげた「臨床のためのEBM入門」と「ナラティブ・ベイスト・メディスンの実践」同時読みは、2つの世界観を空間的に把握するのにとても有用な体験でした。既知の情報についてはすっ飛ばして読んだので、それほど時間はかかりませんでした。修士課程以来、EBMの教科書を通読していなかったので、よい復習にもなりました。
研究の包含基準と除外基準を厳密に適用するよりも良い方法は、研究結果が患者に適用できない何か決定的な理由がないか問うことである。
とか、CIがPとnだけで計算できている、とか、バイアスとは真実からの系統的なずれをいう。といったコメントに新たな気づきを得ました。
NBMについても、これまで別個にとらえていたNBM、質的研究、M−GTA、構造、現象学、間主観性、スピリチュアルペイン、反証可能性などといったキーワードが一つの空間の中に同時に現れたので、新しいとらえ直しが出来たのでした。この本は前に読んだ翻訳本よりもずっと納得のいく(自分の体験から照らし合わせて追体験できる)本で、入り込みやすかったのも良かったです。
ただ、岩田は微生物は実在しても病気(例えば感染症)は実在しないという見解を今は持っているので、NBMが従来型の生物化学的な医学と異なるもの(ひとつの物語りとして組み込んだとしても)というよりは、両者は構造というキーワードでより包括的な理解の仕方が出来ると思いますし、それを好みます。
つまるところ大切なのは、何をめざしているのか、というところからの逆算で、それが方法論を自然に決定してくれるということでしょう。はじめに方法論ありきだと、信念対立は避けられないですし、、、、これは病歴か検査か、入院か外来か、薬か薬以外か、などあらゆる医療における対立構造の解消に役に立つと思います。やっぱこれも西條さん滴には構造構成主義なのかもしれませんが、主義って言っちゃうべきなのかは、よく分かりません。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。