経口メトロニダゾール(フラジール)の添付文書が2008年3月に改訂になりました。そこで、
中枢神経に基礎疾患を有する者
が禁忌疾患に加えられています。
たしかに、米国のパケッジインサートには「中枢神経症状が出たら薬を中止するよう」「中枢神経疾患があれば減量を」と記載されていますが、「中枢神経疾患があれば禁忌」とは書いてありません(両者の意味は全く異なります)。
そこで、メーカーの塩野義製薬を介してPMDAに疑義照会をおこなうことにしました。
・なぜ(FDAよりも圧倒的にスタッフ数が少なくて添付文書の改訂業務は全然後手に回っている、といわれる)PMDA(あるいはその周辺)は今年になってこのような添付文書の改訂を行ったのか。
・添付文書の改訂に当たり、中枢神経疾患を有する患者に対するメトロニダゾールの与える影響について、追加の臨床試験を行ったのか。あるいはそれ以外のデータがあるのか。どちらにしても、あれば全て開示してほしい。
・メトロニダゾールを必要とする患者で中枢神経疾患を有している場合、PMDAは代わりに何を使うべきと考えているのか、対案を提示してほしい。
・もし、中枢神経に副作用がある、という根拠のみで中枢神経疾患を有する患者に使用を禁ずるのであれば、カルバペネムやニューキノロンも全て禁忌にすべきではないか。そうでなければダブルスタンダードということになる。
日本の薬の添付文書は「禁忌」の不適切記載が目立ちます。添付文書は薬物の属性を評価したものであるべきで、その「価値観」を勝手に強制すべきではありません。提示されるべきは、データです。どのような効能があり、どのようなリスクがあるのかをしっかりと明示すればよいのです。それをどのように料理するかは、現場の医療者と患者の価値観にゆだねればいいのです。これは悪しきパターナリズムです。価値観の押し売りはよほど極端な例に限定すべきなのです。
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