2007 CABERNET SAUVIGNON RESERVA
BARON PHILIPPE DE ROTHSCHILD MAIPO CHILE
久しぶりにB級ワインの世界。南アフリカとチリがやはりねらい目ですが、円高でこれからは欧州やアメリカのワインも安くなるのでしょうか。後味のよいカベルネ。
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野鳥が大陸をわたって鳥インフルエンザを運んでいくことはない、と最近の総説論文にも書いてありましたが、これを反証するものです。反証はこの業界の常なのです。
新興感染症対策の最大のポイントは、既存の知識に依存しすぎないことです。ガイドライン、マニュアルをいくら整備しても新事実が出てきたらしなやかに方針転換できる頭のやわらかさと腰の軽さが必須だと思います。
投稿情報: 07:25 カテゴリー: 感染症 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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やっと買って一息で読んで、すぐにうちの研修医に貸しました。検査からアプローチしている医療機関には強くお奨め、必読です。ティアニー先生、うちの病院にも来てくれないかなあ。
http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=62741
投稿情報: 19:00 カテゴリー: 本、映画、その他 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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長い長いガイドラインですが、知識の整理のためにがんばって読みました。うん、すっきりした。
AASLE guidelines on chronic hepatitis B 2007
・世界にはB型肝炎キャリアが3億5千万人いる。
・慢性キャリアの定義は、HBsAgが半年以上陽性の人のこと
・頻度が高い、中程度、低い地域がある。それぞれ人口の8%以上、2−7%、2%以下のこと。
・感染は垂直感染、血液感染、性交渉による。頻度の高い地域では密な接触も感染の原因になる。
・HBVは体外でも長く生き続ける。
・慢性キャリア化しやすいのは垂直感染や免疫抑制者
・スクリーンの対象はハイリスク患者だが、
「スリランカ以外のアジア全部!」とある。はい、日本人全員です。
・スクリーニングはHBsAgおよびAbが通常。HBcAbを使っても良い。
・HBc抗体「だけ」が陽性になる理由は様々。
1.慢性感染
2.治癒後で表面抗体がでていない。
3.偽陽性(よく、日本の教科書にはこのことが書かれていない。例えば、HCV抗体陽性、PCR陰性のときに「既感染」と決めつけてしまう記載が多い。日本の医師は、検査は間違いを犯さないと信じている人が多い、、、、とくに大学病院)。
4.急性期でウインドウピリオド。HBcIgMを測れば分かる。
・酒を飲むと肝硬変が進む。当たり前。キャリアの飲酒は極力避ける。
・キャリアにはカウンセリングが必要。他者への感染をさせない。性行為を行うパートナーにはワクチンが必要。あるいはコンドーム。妊婦では出産時に免疫グロブリンとワクチンを新生児に。95%以上の効果あり。
・医療従事者でe抗原陽性の場合は「曝露をしやすい手技をやらない」とCDCは推奨している。微妙な言い回し。
・ヨーロッパではDNAレベルで医療従事における許容度を決めているらしいが、そのカットオフ値は200-20000/mlとばらばら。
・HBcのみ陽性の肝移植ではなんと感染率75%!移植の場合は抗ウイルス薬を飲んだ方がよい。期間は決まっていないが、6-12ヶ月?肝移植なら生涯か?HBIGは?
・透析患者は毎年HBV✓をしたほうがよい。ワクチン接種後も免疫が下がることが多いから。
・genotypeはAからHまで8種類。地域によって流行が異なる。
・予後が良いのがB?その他のジェノタイプについては不明。Aと
Bではインターフェロンの反応がよく、CとDはいまいち。別のスタディーではAのほうがBよりよかった(NEJM 2005;352:2682-)。経口薬ではとくにそういうデータなし。
・大多数の患者では、感染初期にDNAレベルとe抗原が上がり、減り、そしてe抗体ができる。
・垂直感染ではDNAが高くてもトランスアミラーゼは正常なことが多い。免疫寛容があるためという。
・e抗原の消失は年間8−12%。免疫抑制があるとさらに低い。
・高齢者、ALT高値、ジェノタイプBかCだとe抗原クリアランスの率が高い。
・10-20%のキャリアが慢性肝炎となる。キャリアのフォローは生涯必要。
・毎年0.5%の確率でHBsAgは消える。抗体もたいてい、できる。しかし、そのうち半分は低レベルでDNAを検知できる。HCCもたまにおきる。HBVが体からなくなっていないことも多いのだ。
・肝硬変のリスクは、高齢、ジェノタイプC、DNA高値、アルコール、HCV、HDV,HIV感染で増す。アフラトキシン、喫煙(!)もリスク。
・HCCのリスクは男性、家族歴、高齢、HBe抗体から抗原への逆戻り、肝硬変、ジェノタイプC、コアプロモータ突然変異、HCV共感染(!)である。
・20-50%のHCCは肝硬変がない。
・HCVとの共感染は10-15%。日本ではもう少し低い?
・肝炎は重症化しやすい。肝硬変、HCCの頻度も高い。
・HDV。サテライトウイルス。地中海、南アフリカに多い。HDVが追加で感染すると、慢性化しやすい。BもDも慢性化するのが特徴。
・HIV共感染。HBVのDNAは高値となりやすい。e抗原のセロコンは起きにくい。肝疾患の予後も増悪。IRISにも注意。CMVやマックでも肝機能は増悪。
・s抗原が出ないこともあるので、HIV感染者では「必ず」c抗体も検査すること。
・CD4は200以上あった方がHBVワクチンは効きやすい。
・PCRは大事。DNA低値を治療するのは非現実的かも。根拠は甘いが、20000コピー以上を慢性肝炎と定義している。
・トランスアミラーゼの閾値はALTで。男性は30,女性は19という意見も。
・肝生検は、ALTが高くてDNAが2万以上の時の「オプション」。そして治療。
・ALT高くてDNA2000-20000が続けば、治療。
・ALT正常、DNA2000以下、e抗原陰性、e抗体陽性なら、様子見。
・e抗原陽性、ALT正常なら経過観察
・ALTちょい上がり、e抗原陽性なら、持続する、40歳以上などなら治療。
・超音波「か」AFPが定期的に推奨されている。両方ではない、、、
・治療は、biochemical(BR),virologic(VR),histologic(HR)に決める。
・耐性が出やすいのがラミブジン、出にくいのがエンテカビル、その間がアデホビル。
・多剤併用療法はまだ効くとはわかっていない。
・
・インターフェロンαは限定された患者でないと効かない。
e抗原陽性かつALT高値。ALT正常だと効果は小さい。アジア人でも同様。
e抗原陰性。効果は38-90%。ただし、再発は多い。24ヶ月の治療が推奨か。
・1回治療失敗したら、次の治療も失敗しやすい。
・e抗原陽性の安定した肝硬変には効果あるかも。ChildB,Cではほとんど効果なし。
・長期予後についてはコントラバーシャル。
・皮下で5MU毎日か、10MUを週三回。16-24週の治療がe抗原陽性では一般的。陰性なら最低12ヶ月、24ヶ月という声も。
・たぶん、pegIFNも同様に効果あるか。180mcg週一回。ラミブジンとの併用療法も。
・ラミブジン、アデホビル、エンテカビル、telbivudineの腎機能低下時の投与量もガイドラインにあり。便利。
・telbivudineはラミブジンと耐性を共有する。耐性は出来やすい。臨床効果は高いのに。
・テノホビルはアデホビルと構造がにている。効果も同様らしい。
・clevudineも長期にわたってウイルスを抑制すると言われる。ラミブジンと同様、YMDDの耐性あり。
・現行の治療はHBVを除去することは出来ない。
・普通のIFNよりpegIFNのほうがいいだろう。
・耐性が出来やすいのでラミブジンやtelbivudineは好まれない。
・ALT正常なら通常治療はしない。
・pegIFN, アデホビル、エンテカビルがファーストチョイス。小児ではIFNかラミブジン。
・耐性ウイルスが出たら、「加える」か、「変える」。
・ただし、ラミブジン耐性でアデホビルを使うなら、「加える」。エンテカビルでは、ラミブジンはエンテカビル耐性を促すので、「やめる」。結構複雑。
・アデホビル耐性では、ラミブジンかエンテカビルを「加える」
・エンテカビル耐性では、アデホビルを用いる。
・肝硬変ではIFNは使わない。アデホビルかエンテカビルのことが多い。
HCV共感染での治療
・推奨なし。データなし。
HDV。
・IFNのみ。ラミブジンは効果なかった。
HIV。
・ラミブジン、エムトリシタビン、テノホビルはHBV,HIV両者に効く。アデホビルは低容量なのでHIV治療には使えない。ただし、耐性もでにくいらしい。エンテカビルはHIVには効かない。telbivudineはHIVには効果がないが、M204I(YMDD)突然変異を誘発するため、使うべきではない。
・IFNはCD4が500以上で推奨されることが多い。e抗原陰性ならアデホビルかエンテカビル、、、、
・HAARTを変えるときにHBV治療を止めないことが大事。フレアの原因に。
・化学療法、免疫抑制の時は予防的にHBV治療をする手もある。
急性肝炎
・重症、劇症肝炎でのみ、ラミブジン、エンテカビルなどを使う。lIFNは禁忌。
投稿情報: 12:43 カテゴリー: journal club | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (1)
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大学に異動して7ヶ月。論文の読み方とかずっと教えていて、ようやくまっとうなジャーナルクラブができるようになってきました。耳鼻科の先生が来てくれて、こちらも勉強になっています。やはり他業種のコミュニケーションは大切みたいです。
本日のお題は
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine
2004 vol. 170 (5) pp. 561-6
DOTをやると予後が良いか、という後向き研究ですが、面白いのは、比較対象のテーブル1が全然違っている、という逆説。明らかに予後が悪そうな群をDOTに置いて、それでも予後が良かった、という論拠で攻めているアイディア賞。バイアスはないの?あるかもしれませんが、何か?形式論ではなく目的相関的に考えると、こういう論文はあり、という好例です。
Chest
2006 vol. 130 (6) pp. 1679-86
侵襲性A群溶連菌感染患者の予後規定因子を検討したもの。壊死性筋膜炎や菌血症はあまり予後とは関係なさそう。外科的処置も予後とは関連なさそうだが、壊死性筋膜炎だけで切っていないのが残念。IVIGを使うとICU退出が0.2日間早まる!すごい、やっぱ免疫グロブリンだ!なんてね。
Head Neck
2001 vol. 23 (6) pp. 447-55
生まれて初めてHead Neckという雑誌を読みました。head and neck cancerの術後感染は多い、という論文。
Chest
2000 vol. 117 (1) pp. 39-42
よく院内の熱の鑑別にPEがあがるが、PEの14%で熱が出ますよ、という論文。熱の高さは関係なさそう。
Biosecurity and bioterrorism : biodefense strategy, practice, and science
2008 vol. 6 (3) pp. 227-36
pandemic fluにまつわる倫理的な問題をまとめた労作。なかなか面白かったです。
投稿情報: 10:02 カテゴリー: journal club | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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オバマが勝ったと言うより、ブッシュが負けたというべきでしょう。この8年のアメリカを、アメリカ国民自身が否定したのです。このことは、まあ必然と言うべきでしょう。
さて、就任について各国の首脳がコメントを残していますが、麻生首相のコメントが一番情けなかったです。いままでのアメリカに未練たらたらで新しいアメリカにもべったり、という日米2国間だけのスキームを維持する古くさいコメントで、そのくせ何も言っていませんでした。グローバリズムを提唱するオバマ氏としては、一番軽蔑の対象になるのではないでしょうか(彼が敵と見なす、「過去」のコメントでした)。ああ情けない。
アメリカはついに変革する覚悟を国全部で決めました。日本はその覚悟があるでしょうか。どうも、現状維持の重力はいまだに強いようですが、、、、どこもかしこも。
投稿情報: 21:29 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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日本の官僚・公務員に足りないものはたくさんありますが、一番足りないのは勇気です。現実を見据える勇気、自分の能力を正当に評価する勇気、自分の限界に挑戦する勇気、現状維持の重力にあらがう勇気、そうなっているからそうしている、というトートロジーから脱する勇気、知識のラテラリティーという帝国に閉じこもらない勇気、そして、自分の仕事に責任を取る勇気。
なんて、ステレオタイプな官僚・公務員評価はよくありませんよ、という大分トリニータ社長の話。すごいなあ。人生の醍醐味はGiant Killingだ、を地でいくストーリーですね。
最近読んだ面白い話。評論家のセルジオ越後氏。好き嫌いはあるでしょうが、以下の逸話は説得力がありました。彼が日本代表が勝った後に企業の社長さんに、今日はおめでたい日だから辛口コメントはなしですよ、みたいなことを言われたそうです。そうしたら、セルジオ氏は、「では、営業会議で、先月の業績は良かったから今月は頑張らなくていいよと言ってください」と返したとか。プロとは何かを考えさせるお話でした。
投稿情報: 17:47 カテゴリー: 考え方のピットフォール | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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