宮崎駿監督の映画でベスト3に(個人的に)入れているのが、「紅の豚」です。ぽにょはまだ観ていませんが、、、、、ここ10年くらいの宮崎映画は妙に「PTAご推薦」的なニオイが強くて、2回以上観る気にはなれません(映画としての完成度は高いと思いますが)。
「紅の豚」はけっこう、PC的にはまずい映画です。インモラルなところもあります。主人公はたばこをぷかぷか吸っていますし、吸い殻も平気で「環境」に捨てています。「女のくせに」とかヤバゲな台詞も平気で出てきます。でも、そういうインモラルな部分があるからこそ、映画としての「厚み」もでてきますし、主人公に入れ込むこともできるのだと思います。「女の手で人を殺す戦闘艇を作る罪をお許しください」と工場のじいさんが厳粛につぶやいた直後に、「さーてもりもり食べてびしばし働こう!」ところっと、ころっと明るくなるあたりもいい感じです。
最近の宮崎映画はこうしたインモラルで、どきどきするような映画の原点、面白さを全部封印してしまったように思います。道徳的で文化的で映画の完成度も高く、教育者や評論家の評価は高いが、つまらない。しびれるかっこいい主人公も、美しいヒロインも封印され、妙にリアリティーの高い人物(女たちもどんどんブスになっていきます)ばかりが銀幕を飾るのです。
かつて、「ルパン三世カリオストロの城」のころに、ヒロインのクラリスをさして「おしっこもうんちもしないようなキャラだ」と批判されたとき、宮崎監督は「じゃ、あなたはおしっこもうんちもするようなキャラを観たいんですか?」と反論しました(台詞の細部は、うろ覚え)。
映画や小説の一番美しい部分である、そういったロマンティシズムは年が過ぎ、「巨匠」になっていくうちに失せていきます。かつての黒澤明監督がそうでした。彼の晩年のカラー作品も芸術品としては価値が高いかも知れませんが、シンプルに面白くないのです。
「カリ城」「用心棒」「豚」「七人の侍」などは、何度もDVDで見かえしましたが、何度見直しても面白い。本日の「豚」も娘といっしょに楽しんだ、日曜の午後のひと時でした。
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