さて、理解を深めるために、実際のケースで見てみましょう。梅毒検査は検査からアプローチせず、患者からアプローチするのが大事だと思います。
77歳女性。大腸癌手術前の梅毒検査でRPR 2.0、TPHA陽性(数字は気にする必要なし)。梅毒的には無症状
解釈と対応
・おそらく過去の梅毒、serofastでRPR低値のまま。もしかしたら過去の梅毒プラス生物学的偽陽性かもしれないが、いずれにしてもやることは同じ。特別なことはしない。
25歳男性。無痛性の潰瘍がペニスにあって受診。RPR陰性、TPHA陽性。
解釈と対応
・おそらく一期の梅毒。TPHA IgMが上がっているところ。ペニシリンで治療。他のSTDも探して、パートナーにも介入しましょう。HIV検査も忘れずに。
44歳男性。発熱、皮疹にて来院。RPR16倍、TPHA陽性
解釈と対応
・おそらく二期の梅毒。治療とその他の対応は一期の梅毒同様に。
56歳男性。「うつ病」という理由で精神科病棟に入院中。肺炎になって一般病棟にて内科治療。ここでRPR16倍、TPHA陽性。
解釈と対応
・うつ病ではなく、神経梅毒を考え、髄液検査。この患者は髄液細胞数33で単球優位、蛋白微増、VDRLは陰性だったが偽陰性と考え神経梅毒としてペニシリン大量投与で14日間治療。劇的に神経症状は改善した。HIVも陽性であった。
44歳女性。発熱と関節炎、皮疹で入院。RPR陽性、TPHA陰性。
解釈と対応
・皮疹があるので二期の梅毒を考えるが、TPHAが偽陰性になるのはこのステージではまれ。この患者はSLEと診断され、RPRは生物学的偽陽性であった。
77歳男性。老人ホーム入所時の梅毒検査でRPR8倍、TPHA陽性。無症状。
解釈と対応
・おそらく潜伏梅毒。神経梅毒をワークアップするかは微妙(患者次第かな、、、)。ペニシリンにて治療し、他のSTDもワークアップ。
どうですか。結構イメージがわいてきましたか。他の検査同様、梅毒検査も臨床的なコンテクストが大事です。RPRとTPHAのプラスマイナスの2x2表ではうまく理解できないことが多いので、ケースで理解することをお奨めします。
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