山下武志著 心房細動に出会ったら
プライマリ・ケア医を対象にした心房細動の教科書ですが、その実態、原則、例外事項をバランスよく解説している好著です。ちゃんと、例外事項を出していて疾患の世界観を教えてくれているのが、すばらしいと思います。多くのプライマリ・ケア医向けの本が、それをしないために「疾患をなめ」たり、専門医のプラクティスに「あいつはガイドラインに書いていない、エビデンスのないことをやっている」と揶揄してしまう問題が生じることがあります(わたしもそれで痛い目に遭いました)。今年読んだ教科書でベストの一つかもしれません。英訳して、向こうでも出版したらいいとすら思います。将来は日本初の国際レベルの教科書が出るといいですよね。
抗不整脈薬はあまりプライマリ・ケアでは使わない方がよい、と誤解していましたが、患者のQOLを考えるとそうともいえない、と理解しました。通常行っている医療に新たな気づきを与えてくれるのがいい教科書の条件だと思いますが、本当に目から鱗でした。心房細動も根底では「その周辺」のケアが大事であり、他の多くの疾患に通じるのだな、というのも新たな気づきでした。他領域の教科書は、だから勉強になるのですね。
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