CRPについては、「感染症診療のエビデンス」で亀田総合病院の大路剛先生がまとめているので、そちらも紹介しましょう。
・生後3日以内の新生児の熱。初期診断ではrule out, rule in にはあまり有用でない。48時間後の測定で陰性なら除外可能か
・1ヶ月から36ヶ月の小児・新生児では、重症感染症(菌血症、髄膜炎、尿路感染、肺炎、化膿性関節炎、骨髄炎)に対して、CRP>7mg/dlで感度・特異度は最良(71%, 91%)、<5mg/dlにすると、LR0.087。除外に有用。
・高次救急における意識障害患者の重症感染症除外には、CRPは役に立たない。
・ICUレベルでCRPを毎朝測定すると感染症を予測できる。ただし、感染症の診断が培養検査のみで判定されており、方法論的には問題。Crit Care 2006;10:R63
・CRPを根拠に下気道感染を診断するのは困難。BMJ 2005;331:26
・血流感染患者に抗菌薬を測定し、4日目にCRPの下がりが悪ければ治療失敗例が多い。ただし、CRPを測ることによって患者の予後が改善する、というデータはない。
以上です。毎日のように使われるCRPですが、このように微妙な役割を果たし、微妙な役割「しか」果たしません。しかし、毎日の回診で、「昨日熱発したので、今朝のCRPをチェックしときます」的なコメントが平気で出されます。それよりベッドサイドにいった方がずっと有用なのに、もかかわらずです。最近経験したケースでは、
・セラチアによる敗血症性ショック。CRPは上がらなかった。
・化学性肺臓炎。CRPは上がった。
・CRPが高い。抗菌薬を止めたら治った
みたいな感じです。CRP医者を作るのには2ヶ月あれば充分、と聞いたことがあります。本当に、そう感じます。これをひっくり返すのは大変です。ドリンクホルダーがドリンクホルダーである、と理解してもらうのに、あと、どれくらいかかるでしょうか。
次回からは、また他の検査について、、、、
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