蜂窩織炎の治療ができているかの評価はどのようにすべきか?
序論
今回の担当患者は、2週間前から発熱があり、両下腿腫脹、圧痛、炎症マーカーの上昇が見られ内服抗菌薬治療により、一旦解熱、局所の発赤と腫脹が改善された。しかし、両下腿痛の増悪で歩行困難となり発熱も起こしたため、蜂窩織炎の治療ができていなかった疑いがあった。結局、右下腿に膿瘍がいっぱいあったため、これが原因で発熱したとみられる。
蜂窩織炎の治療後の評価を正確にすることで、診断精度を高めることができるのではないかと考え、今回このテーマを設定した。また、本文では、足部の蜂窩織炎に注目して述べる。
本論
蜂窩織炎は皮膚および皮下組織の急性細菌感染で、最も頻度の高い原因菌はレンサ球菌とブドウ球菌である。典型的な蜂窩織炎は片側であり、皮膚は熱感、発赤および腫脹を呈し、表皮はオレンジの皮に似た外観を呈することが多い。[1]膿性の浸出液や膿瘍腔が見られない蜂窩織炎は、血液培養などによる検出率は低く、直接的に起因菌を同定できないことが多い。[2]臨床検査値は、白血球やCPRの上昇が見られる。[3]
結び
蜂窩織炎の治療後の評価において、皮膚および創傷から培養を行っても、そこから感染した微生物を同定できることは稀であるので評価の適応とはならない。また、皮膚所見から臨床的に診断されることから、臨床所見(皮膚の発赤、腫脹、熱感、疼痛、発赤部位に一致した圧痛など)の回復具合から評価するべきである。また、白血球やCPR値の低下からも評価でき、臨床所見と総合して評価する必要があ
参考文献
[1] Cellulitis: A Review in JAMA The Journal of the American Medical Association written by Adam B Raff
[2]本邦での蜂窩織炎の起因菌、および適切な抗菌薬選択の検討(総合病院土浦協同病院皮膚科 盛山吉弘、岩本和真、片桐正博、結束怜子)
[3] 皮膚科診療カラーアトラス4 p78
杏林大学形成外科の大浦紀彦です。
右下腿に膿瘍がいっぱいあったため、
というコメントがありますが、膿瘍があった段階で蜂窩織炎とは言えません。蜂窩織炎は脂肪組織内の感染のことを言います。
膿瘍を認めたら、壊死性軟部組織感染症=壊死性筋膜炎、壊死性筋炎ではないでしょうか。
・膿瘍=外科的に細菌数を減少させる デブリ―ドマン
・蜂窩織炎=抗生物質+脂肪組織を圧迫するための弾性包帯治療
と考えます。
壊死性筋膜炎だと考えて、切開したら何もなかったという話を良く効きます。
投稿情報: 大浦 紀彦 | 2020/02/19 15:27