二次性腹膜炎の予後予測にスコアリングシステムは有用か
今回、胃切除後の二次性腹膜炎の患者を担当したので、治療などを調べたところ、いまだに死亡率が高いこと[1]が分かった。そこで、腹膜炎の予後予測において、MPI(Mannheim Peritonitis Index)やAPACHE(Acute Physiology And Chronic Health Evaluation)などのスコアリングシステムが有用かどうかを調べた。
SHARMAらの報告[2]では、術後腹膜炎の50症例において、MPIスコアの増加と死亡率の増加に相関があり、MPI<26を生存、MPI≧27を死亡として予後予測値を設定すると、MPIのSensitivity=66.67%,Specificity=100%,Accuracy=94%であった(p<0.001)。BATRAらの報告[3]でも同様に、穿孔性封膜炎の160症例において、MPI≧26を死亡として予後予測値を設定すると,MPIのSensitivity=100%,Specificity=65.54%であった。APACHE Ⅱスコアリングシステムについては、SHERGILLらが術後腹膜炎50症例で検討している[4]。APACHE Ⅱスコアと死亡率には相関性があり、生存群と死亡群の平均スコアは、それぞれ8と22.4で、スコアが20以上で死亡率が高かったと、報告している。穿孔性腹膜炎でも同様の報告があり、AGARWALら[5]は100症例で検討し、生存群と死亡群の平均スコアは、それぞれ4.05と12.75で有意差(p<0.0001)があったと報告している。
これらの報告は、全て前向き研究であり、システマティックレビューやメタ解析の論文は含まれていないが、総じて二次性腹膜炎の予後指標として、スコアリングシステムが有用であることを示している。DELIBEGOVICら[6]も、穿孔性腹膜炎150症例において、各種スコアリングを比較して、APACHE Ⅱが一番優れているとする一方で、その他のシステムも有用であると報告している。これら予後指標は、客観的な状態評価、迅速な重症患者判定を可能にし、治療成績の予後向上にも寄与すると考えられている。MPIスコアに関しては、評価項目ごとの予後へのリスク比を考察しているが、報告によって、有意な項目にバラツキがある。今後は、各種スコアの項目を比較することで、より適切なスコアリングシステムを検討する必要があると考える。
<参考文献>
[1] CAVALLARO, Andrea, et al. Management of secondary peritonitis. Ann. Ital. Chir, 2008, 79.4: 255-260.
[2] SHARMA, Sanjeev, et al. Assessment of severity of peritonitis using mannheim peritonitis index. Nigerian Journal of Surgery, 2016, 22.2: 118-122.
[3] BATRA, P., et al. Mannheim peritonitis index as an evaluative tool in predicting mortality in patients of perforation peritonitis. CIB Tech J Surg, 2013, 2: 30-6.
[4] SHERGILL, SS., et al. 2018, Outcome of Secondary Peritonitis Based on Apache II Score. Int J Recent Sci Res. 9(3), pp. 25258-25261.
[5] AGARWAL, Anand, et al. Apache II scoring in predicting surgical outcome in patients of perforation peritonitis. International Surgery Journal, 2017, 4.7: 2321-2325.
[6] DELIBEGOVIC, Samir. et al. APACHE II scoring system is superior in the prediction of the outcome in critically ill patients with perforative peritonitis. Medical Archives, 2011, 65.2: 82.
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