Pasteurellaの咬傷・掻傷以外の感染経路は何か
<序論>
XXX咬傷・掻傷なくPasteurellaに感染する症例ではどのような感染経路があるのかを調べた。
<本論>
Paeteurellaは通常犬や猫、馬、豚に咬まれた後・引っ掻かれた後などに発症する。
44例の後ろ向き研究では、うち25例が咬傷・掻傷により発症しており、19例が咬傷・掻傷なく発症している。血液培養や喀痰検査で菌が検出されるのは、咬傷・掻傷なく発症した症例の方が多い(それぞれ4%:37%、0%:21%)。また、19例のうち12例が糖尿病や慢性腎不全、COPD、肝疾患、骨髄異形成症候群など基礎疾患を有していた。それらの患者では入院や集中治療を必要とすることが多く、致死率も有意に高かった。(入院4%:37%、集中治療4%:37%、致死率0%:21%)。
基礎疾患を有していても、咬傷・掻傷により発症している場合は予後は良好であった。
個々の場合の感染経路を調べるために、咬傷・掻傷がなかった3例のケースレポートを参照した。
糖尿病合併の55歳男性は、敗血症からの関節炎・骨髄炎を起こし、両側の母指・手首に腫脹を認めた。犬を2匹飼っており、木の机を運んだ際にできた小さな傷から感染したのではないかと考えられている。
糖尿病合併の60歳男性も、犬を飼っていた。このケースでは明確な感染経路は分かっていないが、糖尿病により免疫能低下状態にあったために感染したのではないかと考えられる。
多発血管炎性肉芽腫症のため家庭で血液透析を行なっていた21歳男性は、猫に透析のチューブを咬まれた3日後に発熱をきたしている。
<結論>
咬傷・掻傷なくPasteurellaに感染する症例は、免疫能が低下するような基礎疾患を有していることが多く、予後が不良である。感染経路としては、創部を舐められる・カテーテルチューブを咬まれるなどがあり、免疫能が低下している状態では動物と接触すること自体が感染の危険因子である。
<参考文献>
Antonio Giordano et al. Clinical Features and Outcomes of Pasteurella multocida Infection Medicine 94(36):e1285 September 2015
Sumeja Zahirovic et al. A Tale of Two Thumbs, a Dog, and a Wooden Table Arthritis Care & Research Vol. 69, No. 6, June 2017, pp 912-914
Wen-Sen Lee et al. Community-acquired bacteremic pneumonia due to Pasteurella multocida subspecies multocida in a patient with poor-control diabetes mellitus Journal of Microbiology, Immunology and Infection (2019) 52, 163-164
- C. S. Martin et al. Pasteurella multocida line infection: a case report and review of literature BMC Infectious Diseases (2018) 18-420
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