テーマ 「SJS/TENに合併した菌血症の原因菌と、CRBSIによる菌血症の原因菌に違いはあるのか」
序論
SJS/TENは水泡・表皮剥離を特徴としバリア機能が破綻しているため、この疾患に合併した菌血症とCRBSIによる菌血症では原因菌が異なるのではないかと考え、上記のようにテーマを設定した。
本論
Nicolasらによると、18歳以上のTEN、SJS、あるいはSJS/TENのOverlapにより入院した患者(179人)を対象に、11年間(1997年11月から2008年10月)にわたって行った研究では、3095日の総入院日数の間に48人の患者(26.8%)でBSI(Blood Stream Infection)が発生した。このうち24人(13.4%)の患者では複数の菌が一つの血液サンプル内から取り出された。あわせて70の病原体が採取され、主な病原体は黄色ブドウ球菌(n=23/70,32.8%)、緑膿菌(n=15/70,21.4%)、腸内細菌科の微生物(n=17/70,23.5%)であった。
一方、Masashi Suzukiらによると、血液透析を行っている患者に起こった菌血症の原因菌は半分から4分の3がグラム陽性菌であり、このうち最も多いのはMRSAを含む黄色ブドウ球菌である。この他グラム陽性菌では表皮ブドウ球菌やCNSが多い。残りの4分の1がグラム陰性菌であり、大腸菌やエンテロバクター属、クラブシエラ族が多い。
結論
どちらの場合でも黄色ブドウ球菌が最多であった。しかし原因菌の細かい割合を見つけることができず、厳密な比較ができなかった。さらに、CRBSIを起こすのは透析患者に限ったことではないため、TEN/SJSに合併する菌血症との比較対象として最適ではなかった。
参考文献
de Prost N et al. Medicine (Baltimore) (2010)「Bacteremia in Stevens-Johnson syndrome and toxic epidermal necrolysis: epidemiology, risk factors, and predictive value of skin cultures.」
Suzuki M et al. World J Nephrol (2016)「Bacteremia in hemodialysis patients」
寸評 緑膿菌の大事さを勉強しました。比較の妥当性も。
コメント
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