S「ふう、今週も主だったジャーナルの論文を読むの、大変だったな~」
D「ほう。S先生は未だにメジャーなジャーナル「全部読み」実行してるのか?」
S「あれ?博覧強記のD先生もジャーナル読みまくってるんだと思ってました」
D「いやあ、俺はそんな面倒くさいことはしない」
S「え~」
D「ジャーナルの論文片っ端から読むなんて、時間の無駄無駄無駄、URYYYYY!」
S「一部の人にしか伝わらないジョークは止めてください(しかも古いし)。そうですか?最新の論文全てに目を通すのはジェネラリストにとってとても大切なことだと思いますが」
D「そりゃ、な。NEJMのような雑誌全てに目を通すのは、アリだ。けど、ものには限度というものがあって、JAMAだのThe LancetだのAnnalsだの、そういうすべてを読み通すのは、単なる知識オタク、活字中毒でしかない」
S「そうかなあ。じゃ、先生はどうされてんですか」
D「俺はすべての医学雑誌はスキャンして、興味あるのだけざざっと読む。論文を精読するのは連載しているジャーナルクラブのと、あとは論文執筆の時referenceに使った論文だけだ」
S「そんだけですか~?」
D「そんだけというが、ここまでやってるドクターだって少数派なはずだぞ」
S「そりゃ、そうかもしれませんが、どちらかというとD先生は博識で通っているじゃないですか。その先生がそんだけの勉強量ってちょっとガッカリです」
D「あとは、NEJMのpodcastは聞いてるな。あれは便利。前はAnnalsとかLancetとかも聞いてたけど、やや退屈な展開で飽きたので止めた」
S「基本、飽きっぽいんですね」
D「うん、飽きたらやめちゃう。で、別のネタを探す。面白ければ、飽きない。飽きるということは面白くないということで、やっぱりそのメディアになんらかの欠点があるんだ。そういうメディアは集中して読めない。集中して読めないものに時間を費やしても、どうせ記憶に残らない。だから診療に役に立たない。どうだ、S先生はさっきまで読んでたジャーナル、どこまで中身を覚えてる?」
S「ギクウ。そう言われれば、仕事が終わって疲れ切った時に無理やりページをめくるのにせいいっぱいで、ほとんど頭に入ってなかったかも」
D「ほうら見ろ。時間の無駄と言っただろうが。バーカ、バーカ」
S「小学生みたいな罵倒は止めてください」
D「勉強は効率よく、そしてアウトカムが出るのが大事だ。そのためにはなんだって利用しろ」
S「なんだって利用?なんのことですか?」
第49回「研修医をだしにして勉強しよう」その1 終わり
続く。
この物語はフィクションであり、DとSも架空の指導医です。
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