いただきました。御礼申し上げます。
臨床行為は家事みたいなところがあって、同じことを繰り返すことそのものに意味がある。村上春樹的に言えば、「雪かき」だ。多くの臨床屋はそのような「家事」的なプラクティスを飽きてしまう。で、新しいことに手を出してしまう。珍しい病原体とか、薬とか、マニアックなスタディー手法とか、、、、
そのような誘惑はもちろん理解できるし、全然否定はしない。しかし、家事的で雪かき的な繰り返しの手を抜いてはいけない。家事には、家事の大事な価値がある。面白みもある。
血液培養の使い方などは、すれっからしのID屋には食傷気味のところもあろう。また、血培の話か。でも、血培が有効活用されていない現状はほったらかせない。同じことを繰り返す価値は、そこにある。
血液培養2セットもようやく保険診療として認められるようになった。それにしても、参考文献は10年前のものである。こんなシンプルな変更にも10年もかかってしまうのは、どうしてなんでしょうね。喜び半分、脱力半分だ。
まあ、でもせっかく認められたので、ここでしっかり勉強して、血液培養を有効に活用してほしい。というわけで、「繰り返し」の話がDVDになった。教育的に価値の高いツールがまた増えたことを慶賀としたい。
このDVDの一番よいところは、「検査室に行く」というプラクティスを研修医に勧めていて、検査技師とのコミュニケーションがいかに大事であるか、という点を教えてくれる点であろう。これを沖縄中部では真っ先に教わるが、多くの病院では検査室はアンタッチャブルで、医師は脚を運ばないし、技師は脚を運ばせない。チーム医療なんて、組織図上のまさに「机上の空論」になっていることが多い。
春の研修医は、まず病棟で動き回ることを教わらねばならない。それがすべての前提だからだ。最初が肝心だから、熱発患者の適切なワークアップはきちんとできるようになっておこう。変な癖をつけると、後で直すの大変ですよ。
指導医は、このDVDをよく見て「変な癖」を直しておきましょう。行動変容には勇気が必要ですが、その勇気は報われます。影で研修医に嗤われるより、今自分が変わった方が絶対に得です。そういう「変わる勇気」を持つことが、本当の意味のプライドなのだとぼくは思います。そして、「10年前から知っていた」かのようなふりをして「血液培養はね、、、」と研修医に教えてあげましょう。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。