C T ガイド下での吸引生検の感度は 50%とされ、例え初回の生検が陰性だったとしても、この疾患を除外
するには至らない。ここでは、1 回目の C T ガイド下吸引生検が陰性だった場合、どのようなアプローチが
適切かについて述べる。
◆再度、C T ガイド下吸引生検を試みる
上記のとおり、生検の感度が低いため、初回の検査結果が陰性でも可能な限り 2 回目の C T ガイド下吸 引生検を試みるというのが、多くの場合、最もふさわしい選択と考えられる。ただし、2 度目の生検も 25% で偽陰性となる。また、生検施行前に抗生物質の投与を受けていた患者では、尚更偽陰性となる確率が高 く、診断価値のある検体を採取するために少なくとも最後の抗生物質投与から 48 時間経過するまで、生 検施行を待つべきである。
◆外科的に開放して検体を取る
椎骨生検の方法には、上記の CT ガイド下吸引生検(生検針を用いる)方法と、患部を外科的に開放し
て検体を取る直視下生検の 2 種類がある。92 人の患者を対象にしたある研究では、直視下生検が、生検針 を 用 い た そ れ よ り も 診 断 に 有 意 義 で あ っ た 。( 直 視 下 生 検 で は 、 9 1 % で 陽 性 の 検 体 を 採 取 で き た が 、 生 検 針 を用いた方法では 53%であった。)ただし、この選択は侵襲が大きく、患者の全身状態や病変の部位を考 慮した上での慎重な判断を要する。
◆経験的治療に踏み切る 特に、血液培養において典型的な微生物(S.aureus、腸内細菌、緑膿菌など)がみつかり、臨床所見、
画像所見ともに化膿性脊椎炎に矛盾しないような症例においては、治療開始前に必ずしも生検は必要では ない。ただしこのアプローチには、血液培養と生検の結果はいつも一致するわけではないという問題点が ある。培養された微生物をターゲットに治療を行っても効果がない場合には、やはり生検による起炎菌の 同定が必要と考えられる。
また、血液培養と生検(2 回の吸引生検を施行した場合を含む)が共に陰性であっても、他の所見から 依然として化膿性脊椎炎を強く疑う場合には、まず起炎菌として可能性の高いGPC をターゲットに治療を 開始する。(処方例:セファゾリン 2g 6-8 時間ごとに静注。)泌尿器科、婦人科領域の手技に合併する例 では、腸内細菌などの GNR が原因である可能性を考慮する。(処方例:セフトリアキソン 2g 12 時間ごと に静注。)このような経験的治療に踏み切った場合、一ヶ月程度で臨床症状の改善が見られない場合には、 原因究明のために 3 度目の吸引生検を行うか、直視下生検を行うことを考慮する必要がある。
参考文献
・ Up To Date 「Vertebral osteom yelitisand discitis」
・ レジデントのための感染症診療マニュアル 第2版 青木眞
・ TheNEW ENGLAND JOURNALofMEDICINE2010vol.3621022-1029VertebralOsteomyelitis
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