週末は移動が多かったが、その間に読書。書棚にあった「態度が悪くてすみません」がまだ未読だったので読む。これの岡田山キャンパスのエピソードを読んでいるときに内田先生の最終講義を聞いた。これも一つのシンクロニシティー。
翻訳について、構造主義について、ご飯について、散歩についてと変わらぬ快刀乱麻で、今読んでもとても新しい。コリン・ウイルソンの「アウトサイダー」の名前を見たときはほくそ笑んでしまった(高校生の時僕も読んだから)。本書の構造主義はいままで読んだなかで一番腑に落ちる構造主義の説明でした。
批評と査読についても興味深かった。
「査定の自明性を懐疑すること、査定の権力性に疚しさを感じること(それを「倫理性」と読んでもいい)は批評の必要条件である。(中略)批評であるためには二つ条件が要る。一つ目は、おのれを基礎づけるものが何であるかを絶えず問うこと。つまり、批評は倫理的でなければならないということだ。(中略)批評は文体によってドライブされていなければならない。
カズオ・イシグロの「日の名残り」をゆっくりと読む。大英帝国の没落と執事の没落。非常にリーダブルでかつハート・ウオーミング、ハート・ブレーキングな小説である。センチメンタルでもある。「私を離さないで」に比べると小説としての完成度は後者に軍配が上がるのかも知れないが、センチメンタリストとしては前者も好みである。僕の場合、1Q84より、ノルウェイの森の方が(著者はそうは思わなくても)好みなのである。
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