以前からずっと疑問に思っていたことがある。医師国家試験の結果評価である。神戸大学の医師国家試験の合格率は新卒で93.5%、国立大学中35位(43校中)、全国56位(80校中)であった。
この結果を受けて「ひどい出来」と評価されている。本当だろうか。Rを使ってちょっと確かめてみた。Fisher's exact testを行う。
新卒合格率100%だったのが名古屋市立大と滋賀医大。神戸大とは統計的に有意差あり。なるほど、この二校の学生は神戸大より国家試験合格能力(と一応言っておく)が高いのであろう。しかし、合格率新卒3位の奈良県立医大(合格率99.0%)だとp>0.05で統計的に有意差なし。要するに今回の全国3位と56位の順位の差は「まぐれ」だった可能性が高い。
国家試験はそもそも合格率が高い。高いに多様な合格率にごちゃっと集まったドングリの背比べである。その中で順位が高いの低いのと、このような統計学的な知識十分であるはずの医師が、医学博士が、大学教授が、文科省の教育担当者が、大騒ぎをする。不思議だ。医師国家試験は100m走競争とは異なり、勝ち負けを競うための試験ではない。合格率93.5%も99%も等しくすばらしい(あるいは等しくひどい、と言いたい人は言えばよい)。僕はそう思う。
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