ワクチン外来でのキャンセルが増えているようです。流行が収まりつつあるため、ということですが、実は第二波が来るか(いつ来るか)不明な今の段階で予防接種要不要を判定するのは無理だと思っています。たぶん、国民の半分以上はまだインフルエンザに罹患していないし、いわゆるリスクグループの患者に未罹患者は多いだろうからです。予防接種を打つならむしろ今が良い機会なのですが。。。
予防接種がたいてい1回打ちになって、輸入も決まり、「本当に必要なの?」という声も出ています。
http://sankei.jp.msn.com/life/body/091227/bdy0912272337003-n1.htm
僕自身は、7月だったか8月だったかの会議で、ワクチンの充分な数の供給を主張し、輸入ワクチンの活用もすべきだと意見しています。だから、もし必要なくなって余った場合は「ごめんなさい」という立場にいます。過去の自分の発言には責任を持たねばならない。
ただ、もう一度同じシチュエーションを経験したとしてもやはり同じように進言したでしょう。
逆に間違えるよりはずっとましだからです。
接種できる環境を作って実は要らない、というのと接種できる体制が作れず、やっぱり必要だった、では後者のほうが「やってはいけない間違い」だからです。間違えることが問題なのでなく、どう間違えるかが問題なのだと思います。厚労省血液対策課は「確かに余るだろうが、再流行や来年の流行にも使える可能性はあり、直ちに無駄になるとはいえない。大きく構えておくのが危機管理の基本。検証は必要だが、当時の判断は間違っていなかった」とコメントしている、そうですが、間違っていなかった、と主張するといつものパターンでの失敗です。
無謬性を主張することが大事なのではない。間違ってはいけない、間違うはずがない、という観念が我々を誤らせます。未来の事象に対して百戦百勝なんてあり得ないのだから。
ワクチン輸入は安全保障の文脈でとります。保険です。消火器を買って使わなかったからといって、「あんな無駄な買い物をして」と非難されることはないでしょう。生命保険の保険料も無駄になったほうが(保険金がおりるような厄災がおきないほうが)良いに決まっています。
もしワクチンが余ったら(まだそうとは決められませんが)、国のお金を無駄遣いさせて申し訳なかったなあ、と悔やみつつ、謝りながら、誠意を持って生きていくより他ないのでしょう。
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