なかなか時間がかかりましたが、「現代思想のレボリューション」構造構成主義研究1を通読する事ができました。興味深い点がいくつかありました。
京極真さんの「構造構成的医療論の構想」が非常に面白かったです。すんなり読めました。すんなり読めた理由としては既出の関連文献を読んでいたせいもあるかもしれませんし、医療がテーマだからかもしれませんし、「感染症は実在しない」でこのテーマの多くを扱ったせいかもしれません。
僕はこれまで、
基礎医学か、臨床医学か
ジェネラルか、スペシャルか
モダニズムか、ポストモダニズムか
東洋か、西洋か
日本か、アメリカか
予防か、治療か
といった医療にまつわる信念対立を長く扱っていました。で、自分の中では
こういう「対立」構造はそもそも存在しない(しなくてよい)というけりをつけていたので、まあ、すんなりというわけ。
モダニズム対ポストモダニズムは、現実の医療現場ではそんなに露骨に存在しません(ないとはいわんけど)。少なくともたいていの医者はモダニズムが少し、ポストモダニズムが少しです。そもそも生物科学が物理学みたいに厳密科学一本でいけないから、「薬の切れがいいなあ」なんて質的評価を昔からやっていたのです。ポストモダンがモダンの前にあったりして。この対立構造は「3時間待ちの3分診療」「ジェネラリスト対スペシャリスト」みたいに、若干ファンタジーなところがあります。現場はそんなにくっきり別れていない、と思う。福岡伸一さんみたいだ、、、、
で、問題なのは信念対立ではなく、僕個人の中にある複数の関心のなかでどれを優先させるか、です。僕はこないだ、たくさんの薬を飲んでいるエイズ患者のバクタをCD4が200ぎりぎりのところで止めました。生物科学的には3ヶ月据え置くのです。でも、薬が余りに多いので止めてしまったのです。
これは美談ではありません。その後、この患者さんはPCP(カリニ肺炎)になってしまったからです。僕の判断ミスでした。
僕の中でのたくさんの関心。どの関心を優先させるかは、はっきりいってやってみないと分からないところがあります。医療の複雑なあり方の議論はしたがって、構造構成主義の問題よりも、その先にあるように思っています。
西條剛央さんが構造構成主義に行き着いた問題には、心理学の「統一」という問題がありました。そのことを今回「心理学の統一理論」の構築、、、を読んで知りました。非常に興味深かったです。心理学って傍から見ていると本当に悩ましい学問です。
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