EBMのかなりな使い手でも、こと教育になるととたんに盲目的に情念が優先してしまいます。結論と根拠がひっくり返る現象が普遍的に見られます。不思議ですね。
まあ、教育学やその背後にある心理学のデータが、「いわゆる」エビデンスと親和性に乏しいからかもしれません。それにしても、国内外でも相当な専門家があやふやなデータを針小棒大に語っているのは驚くばかりです。
さて、デーゲンの「フロイト先生のウソ」を読みました。やたら粘着的な文体で読みにくく、データの開陳もよろしくなく、ついでに邦題もへんてこです。できれば引用部分に番号をつけて、元論文を明示して欲しかった。ただ、エッセンスとしては面白かった。他の本とも比べて、以下の点が面白かったです。
・心理療法はほとんど臨床効果がない。
・子どもの人格に親の教育、あり方などはほとんど影響を与えない。
・幼児期の体験は大人になったときの人格を決定しない。
・環境より遺伝のほうが性格形成には大きく寄与。
・子どもの時に虐待を受けると、大人になったら虐待者になる、はウソ。
・子どもの時に愛されないと良い母親になれない、もウソ
・長男、次男、という生まれた順番が性格を形成するというエビデンスは乏しい。
・教師の期待が生徒を伸ばす、ピグマリオン効果はウソ
・モーツアルトを聴かせても頭はよくならない。
・スーパーラーニングはない。
ついでに、フォトリーディングやNLPについても興味があったので個人的に検証してみました。pubmedとwikipediaから興味深い話が見つかったのでした。
こういう領域を扱ったUpToDateのような二次情報ツールがあればよいのにねえ。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。