海外で使われている、日本にない抗菌薬。昔のものも多いので、臨床試験をやり直して、というのは現実的ではありません。公知申請などを用いて迅速に実際的に導入できると良いと思います。海外のデータで充分な有効性と安全性が示されている、歴史的な批判に耐えている薬、例えば点滴メトロニダゾールなどはすぐに入れても良いのです。臨床試験をしなければならない、というのは思い込みに過ぎません。
でも、日本人は海外の人とは違うかもしれない。思わぬ副作用が出るかもしれない。
という「いいわけ」はできるでしょう。経口メトロニダゾールでは出ない思わぬ副作用?
でも、そもそも日本人特有の副作用、ってなんでしょうか。表面的な議論で思考停止に陥らず、もう少し考えてみたい。
これを知るには、「これまで海外で認可されていて、日本で申請され、安全性の懸念のために承認されなかった抗菌薬がいくつあるか」という命題に答えればよいでしょう。
この命題には答えが与えられません。承認されなかった薬についてのデータが非公開だからです。
今月のロハス・メディカルで堀明子先生がその問題を指摘しています。承認された薬のみならず、承認されなかった薬の情報を提供しなければ、PMDAや厚労省の審査の正当性は我々には分からないのですから、これは公表しなくてはいけません。医薬品とは、製薬メーカーのプロパティのみならず、医療者やユーザーたる患者の持ち物でもあるからです。
そして、もしそれが公開されたら、海外で承認された抗菌薬で「日本人の特有の事情で」承認されなかった抗菌薬がいくつあるかが分かります。たくさんあれば、日本で独自の臨床試験が必要でしょう。
僕の想像では、たぶん、そんな事例皆無かあってもまれでしょうけどね。
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