藤原伊織の短編集「雪が降る」を読んでいます。ACIPは終わりましたが、13時間の時差と朝から夕刻までの会議を2日間はさすがにきつかった。睡眠を取ろうと思いましたが、タイミングを逸したので読みやすい小説を開いています。自己嫌悪の強い屈折した中年男のセンチメンタリズムを描写させると、この人の右に出る人はあまりいません。
弟の書棚からぶんどった本ですが、藤原伊織の小説を読んだのは二度目。最初は「テロリストのパラソル」で、これは傑作でした。NY時代にK先生から借りた文庫本でした。これ書いてて分かったのですが、すでに鬼籍に入っておいでなのですね。知りませんでした、、、
で、「銀の塩」という短編を読んでいます。バングラディシュの青年がお金を貯め、自国の人力車を無くし、「機械でできることを人間の力でやっている」自国を変えようとしています。
マンチェスターにいた10代。僕は某アフリカの国の政府高官が「滅び行く国を立て直すために」猛勉強しているのを見て、感動したものでした。僕はというと、目標もビジョンも大志も持たないくだらない10代の日本の医学生で、鬱々と日々を過ごしていたのでした。
ACIPの会合を2日間観察しました。大変よくオーガナイズされた会議で感心しましたが、議論の内容はまあ、普通で、日本であっても上手にプロを15人集めれば充分同じことができることは確信しました。あとは、やるか、やらないか。人力車が走っているような時代錯誤な日本の予防接種。エンジンに換えることは、多分可能でしょう。今の価値観では難しいでしょうが、未来を切り開くには今の価値観ではなく、未来の価値観を生きるべきなのです。
昼には市立堺病院にいたS先生と昼食。全く偶然の邂逅でした。世界はかくも狭くなったのでした。
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