神戸に青木眞先生がおいでになりました。肺炎についてのご講演で、満員。当院の医師、検査技師などもちらほら見られました。
僕が神戸大に初めてきたとき、「青木先生って誰?」とかなり優秀なドクターに言われてショックを覚えたことがあります。隔世の感があります。神大病院は、確実に、ゆっくりとですが、よくなっています。
神戸は便利な美しい都市です。海が開け、ほどほどに都会、ほどほどに自然。交通の便が良く、どこに行くにも近い。でも、この情報化社会で、驚くほど神戸大のドクターは情報から隔絶されています。まるで孤島に住んでいる人々のように。内部の事情にだけやたらと詳しい人がたくさんいるのです。これはどうしたことでしょう。
むしろ、地方に行くとそんなことはない。田舎の中小病院では感染症の勉強を使用としてもツールがない。専門家がいない。相談相手がいない。だから、ネットで検索します。彼らは情報に飢えているのです。情報に飢えた田舎人に現代は優しい時代です。なんでも手に入るのです。そう願いさえすれば。北風が勇敢で頑強なバイキングを作るように。
神戸大の学生はとても優秀ですが、情報から隔絶されているので、まるでソフト空っぽの新品のコンピューターみたいです。コンピューターならソフトや情報をぶち込めば使えるようになりますが、人間に情報をぶち込んでも、物知りなバカができるだけです。「物知りなバカ」は無知な賢者よりもはるかに始末が悪いのです。
だから、自分で目を覚ましてもらわなければなりません。教育の目標はawakenerであること。目を覚ましてもらうこと。外の世界を知ってもらい、優秀な医師を目の当たりにしてもらい、自分がどうあるべきか、自分の力で一所懸命考えてもらうことなのです。青木先生のようなロールモデルは、それをもたらすための触媒なのです。青木先生とカンファレンスで同じ空気を吸い、食事を一緒にとれば、もともと優秀な学生は「目ざめた人」になるのでしょう。
青木先生、ご多忙の所当院においでいただき、ありがとうございました。またときどきいらしてください。そのときはもっと、もう少し、よくなった病院をお見せできると思います。我々は今より良くなる以外の選択肢を持っていないのですから。
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